AP弾の製造、所持、販売は連邦法では合法です。
しかし11の州で違法となっており、州や地域によって規制内容が異なります。
一般的に「弾薬」とは、弾頭、装薬、薬莢、雷管で構成されたものを指しますが、アメリカでは法律上弾薬を構成する各パーツが「弾薬(アムニション)」と定義されているため、AP弾の弾頭を所持するだけでもAP弾所持として違法となる場合があります。
連邦法上、AP弾は以下のように定義されています。
ハンドガンで使用可能な(トレーサーなどを除く)発射体または発射体のコアがタングステン合金、鋼、鉄、真鍮、青銅、ベリリウム銅、劣化ウランを使用しているもの、または、ハンドガンで使用することを目的として設計された.22口径より大きな発射体であり、そのジャケットの重量が発射体の総重量の25%を超えるもの
AP弾の規制は銃規制法(GCA)や法執行官の安全に関する法律(LEOSA)で規制されており、この法律は法執行官のボディーアーマーを貫通するハンドガンの弾薬を規制する目的で制定されています。
そのためライフル弾のAP弾が合法的に売買されている州もありますが、ライフル弾の5.56x45mmや7.62x39mmはピストル化されたタイプで使用されることも多いため、これらのAP弾はハンドガンで使用される弾薬として連邦法レベルで規制対象となっています。
しかしこれには例外があり、貫通力が高いM855グリーンチップや.30-06 M2 APはATF(アルコール・タバコ・火器及び爆発物取締局)が指定するAP弾のリストから除外されています。
M855についてはAP弾として設計されたものではないという理由もあるのですが、オバマ政権下でM855を規制しようとした際に「法的根拠なくAR15を規制しようとしている」として議会が猛反発したことと、M855で法執行官が撃たれたという事例もないことから、「スポーツ目的の弾薬」として規制対象外となっています。
また、.30-06 M2 APについては、この弾薬は一般的にハンドガンで使用されることが無いとして、性能はAP弾だが法律上のAP弾ではない「例外」として指定されています。
例外条件はこの他にも多数存在し、スポーツ目的は例外、ショットシェルは例外、司法長官の判断により例外など、少し複雑な内容になっています。
関連記事:5.56mm弾(M855 “グリーンチップ”)規制の動き
AP弾の製造が合法な州や地域では、FFL(フェデラル・ファイアーアームズ・ライセンス)と特別納税者(SOT)の資格を得ることで製造販売が可能になります。
この場合、年間売り上げが50万ドル以下で年間500ドル、それ以上で年間1000ドルの納税が必要になります。
アメリカの銃規制の法律で「製造(マニュファクチャー)」とは一般的に営利目的の製造を意味しますが、AP弾については個人でリロードする場合でも違法、またはライセンスを必要とする可能性があるため、実行前に地元の法律を確認する必要があります。