トリガープルの良し悪しは主観的に語られることが多いですが、経験豊富な人ほど「一概にどちらとも言えない」という答えになると思います。
コルトパイソンについては、ご指摘の通り初期の時代は熟練のガンスミスによって製造されていたため、製造時のフィッティングやフィニッシュなどのクオリティが高いことは良く知られていますが、だからと言って後期モデルがダメだというわけではありません。あくまで相対的な問題です。私もメンテナンスの行き届いた後期パイソンのトリガーを試したことがありますが、クオリティの高いS&Wリボルバーのモデルと比較しても遜色がないレベルと感じました。
またメンテナンスが十分ではない酷使された射撃場のレンタルガンの経験を元にトリガープルが悪いと語られることもありますが、これも個体差があり、トリガープルを語るには適切とは言えませんし、同じコルト社製ダブルアクション・リボルバーでも、フレームサイズによってトリガーの引きやすさやが異なったり、メインスプリングの重さも異なるため、一概に「コルト社製」で括ることはできません。両社のどちらのリボルバーにも良いトリガーもあれば悪いトリガーもあり、好みの問題で意見が分かれることもあります。
一般的に理想的なトリガープルは、引くにつれて徐々に重くなり、ハンマーが解放される手前で更に重くなるのが理想です。解放直前に少し重くなることで撃発のタイミングが掴みやすいため、高い命中率を期待できるのが理由です。
確かにS&Wは引き始めから引き終わりまでスムーズで、ハンマー解放のタイミングも理想に近いものが多いと感じられますが、私の個人的経験では一概にこれがベストでは無いと考えています。
例えば私が所有していたルガーGP100というリボルバーは、引き始めは軽く、中盤辺りから重さが増すイメージです。トリガープルの重さを曲線グラフで表すと、中盤から急な坂道になり、そのままハンマー解放まで重くなり続けます。
ダブルアクションで素早くトリガーを引き続けていると、寧ろトリガープルがある位置から一定の重さになる方がハンマー解放の瞬間までのトリガートラベルや時間といったタイミングを掴みやすく、それと同時に途中まで軽いため銃が安定し高い命中率が得られると感じました。パイソンのトリガープルもGP100に似た様な特徴的な個性がありますが、質の悪い個体でなければ悪いというレベルではありません。
これはあくまで私の個人的感想なので、人によって意見や好みが異なるのは当然ですし、フレームサイズやスプリングの重さも大きなファクターになり、一概に言えることではありません。
因みにダブルアクション・トリガーの重さに限っては、コルトパイソンはS&Wの同サイズ.357リボルバーより軽い傾向があります。パイソンでは7~9ポンドが多いですが、S&W 686では9~12ポンドほどになり、重さに限っての引きやすさはパイソンの方が有利な傾向があります。