第二次世界大戦時の米軍では、肘を大きく上げることで肩の高さを上げていました。
当時使用していたライフル(M1ガーランドなど)はサイトの高さが低いため、ストックを高い位置で保持することで自然な姿勢での射撃が可能になり、軍では肘を上げて射撃するよう教育していました。
逆に肘を下げて脇を締めた状態で射撃すると肩の位置が低く、ストックを低い位置で保持するため頭を前へ突き出した姿勢で射撃する必要があります。
その後、ベトナム戦争を経てM16が採用された後も肘を上げる射撃姿勢が継続して教育されましたが、第二次世界大戦時より若干肘が低く、身体に対して90度の角度まで肘を上げるという内容でした。
肘を上げることでストックが収まる凹みが生じるため、反動を受け止めやすく安定した射撃が可能です。
そして現在ではボディーアーマー(バリスティックプレート)が着用されるため、身体をターゲットに対して正面に向け、ストックをアーマーに当てるため肘を上げる必要がなくなり、肘を下げて射撃するよう教育されています。
また肘を上げるデメリットには、敵から見ると目立ちやすい、屋内など狭い場所では壁やドアに腕が当たり動きにくい、遮蔽物を利用して射撃する際に腕を被弾しやすい、レディーポジションから射撃に移るまでのスピードが遅くなる・・・といった問題があります。
逆に肘を上げるメリットには、狙撃時などでストックが凹みに収まり安定する、人によっては反動を受けてもストックが滑りにくく安定するといった点があります。
特に大胸筋が発達した人はストックが滑りやすいため肘を上げる方が撃ちやすくなり、ショットガンのように反動が強い銃を撃つ際にも肘を上げる方が安定する場合があります。
しかし、いずれにしても昔のように大きく肘を上げるのではなく、わずかに上げるのがコツです。
肘を上げる射撃姿勢(チキンウイング)は個人差や射撃姿勢の違いなど状況によって使い分けるられるもので、必ずしも誤った射撃姿勢ではありません。