「○○弾だと一発で倒れた」という話はあまり鵜呑みにされない方が良いと思います。
何度も起こっているなら別ですが、状況によって命中箇所など条件が異なるので、個々のケースだけでは偶然なのか本質的な問題なのか判断できません。
ホローポイントやアーマーピアシングなど弾の種類によって性能が異なりますが、あえて弾薬の性能を大雑把に比較すると、200~300メートルまでは7.62x39mmの方が有利で、それ以上の距離は5.45x39mmの方が有利です。
マズルエナジーは7.62x39mmの方が約30%高い
初速は5.45x39mmの方が約30%速い
弾頭重量は7.62x39mmの方が約2~3倍重い
この違いから5.45x39mmは典型的な小口径高速弾なのがわかりますが、弾速が早くて減速率が低い、長距離でも弾道がフラットで弾速を維持できる、リコイルが小さくコントロールしやすいといった特徴があります。
一方、7.62x39mmはブッシュ貫通時や横風に対する耐性があり、パワーもありますが、距離が遠くなるほどドロップ量が大きく、弓なりの弾道になるため、ターゲットが離れるほど命中させにくくなります。
5.45x39mmの最大のメリットは、兵士一人当たりが携行できる弾数の増加です。コンパクトで軽量な5.45x39mmは、7.62x39mmと比較すると2倍近くの弾数を携行できるので、一人当たりの火力が増大されます。これは7.62mmNATOから5.56mmNATOに変更された経緯と同じ理由です。5.45x39mmは着弾後のタンブリングが起こるタイミングも速いことから必要なストッピングパワーを備えており、なおかつ命中率が高くて火力が増えるとなれば、運用上は5.45x39mmに有利な条件が揃っています。