アメリカでは.45ACP信奉は今でも根強く存在しています。
ストッピングパワーの議論ではよく口径の違いについて語られますが、弾道学的には人体に対する影響は口径よりもマズルエナジーと弾頭の種類の差が大きな影響を及ぼします。
弾薬によって弾道重量やマズルエナジーは様々で、比較対象によっては9mmの方が.45ACPよりもストッピングパワーが高いといえる場合もありますし、その逆もあります。
それを踏まえた上で、同じブランドのホローポイント弾(ディフェンスアモ)で9mmと.45ACPを比較した場合では、.45ACPの方がマズルエナジーが大きいのが殆どです。
このことから.45ACPの方がストッピングパワーが強いと考えられる傾向がありますが、ストッピングパワーには着弾後の弾頭の到達深度も大きな要素となります。
大口径だと臓器など組織に与えるダメージが大きくなりますが、その差によって得られる効果がどれだけあるのかという問題と、大口径でも弾速が足りなければ場合によっては大きなダメージを与えられる深さまで到達しにくいという問題があります。
FBIは科学的に検証した結果、どちらもストッピングパワーに大きな差が確認できないことを発表しており、私もこの発表を支持しています。9mmと.45ACPはどちらもストッピングパワーの優れる弾薬ですが、この両者を比較しても実際のストッピングパワーに大きな差はありません。
これがもし.44マグナムと9mmの比較であれば前者の方が圧倒的ですが、.45ACPとの比較はかなり微妙です。
人体は構造が複雑で着弾の場所によって効果が異なるので、私は個人的に、一発当たりのパワーにこだわるよりも、複数の有効弾を正確に命中させやすい9mmの方が有効だと考えています。