猟銃と狩猟用弾薬の選び方|鳥・鹿・熊・象まで比較

ウサギ、キツネ、コヨーテ、イノシシ、シカ、エルク、ムース、クマの画像

この記事の要約

  • 狩猟では獲物に応じた猟銃と弾薬の選択が重要で、精度や肉・毛皮の保全に直結する。
  • ライフルは中~大型獲物の遠距離射撃に適し、ショットガンは鳥類や小型獲物の近距離に有効。
  • 日本の規制や地域特性を踏まえ、初心者は散弾銃から始めるのが現実的で、弾薬の入手性も考慮すべき。

狩猟において最も重要な要素のひとつが、獲物に応じた猟銃と弾薬の選択です。適切な選択は命中精度を高め、肉や毛皮を損なわずに仕留めることにつながります。

この記事では、北米やアフリカで一般的に行われる鳥類からシカ類、さらにはクマやゾウといった危険獣までを対象に、推奨される「弾薬サイズ」「銃の種類」「有効射程」を体系的に整理しました。

これらの知識は海外の狩猟事情に基づいていますが、日本の狩猟にも応用可能です。たとえば、北海道でのシカ猟や本州でのツキノワグマ猟においても、ここで紹介する弾薬選定の考え方は有効であり、法規制や地域特性を踏まえた上で参考にできます。

初心者から経験者まで、狩猟の成果を高めたい方に役立つ実践的な内容になっています。

目次

猟銃の選び方

ライフルの選び方

pre-1964 Winchester Model 70画像
pre-1964 ウィンチェスター Model 70 画像出典:Alaska Senate Majority, CC BY-SA 2.0, via Wikimedia Commons

ライフルは中型から大型の獲物を遠距離で仕留めるのに適しており、高い精度と弾道性能を備えています。使用する口径は獲物に応じて選ぶ必要があり、例えばシカには.243や.308、エルクには.30-06といった選択が一般的です。

操作方式としては信頼性と精度に優れるボルトアクションが主流ですが、レバーアクションやセミオートも特定の用途に適しています。銃の重量やサイズは射手の体格に合うものを選ぶべきで、重い銃は反動を抑える一方で長距離の持ち運びには不便です。

さらに、選んだ口径の弾薬が容易に入手できるかどうかも考慮すべき点であり、射撃距離に応じたスコープや光学機器の選択も欠かせません。

ショットガン(散弾銃)の選び方

レミントン870フィールドマスター画像
レミントン870フィールドマスター 画像出典:remarms.com

ショットガンは近距離での狩猟に強みを持ち、鳥類や水鳥、小型獲物を散弾の広がりによって効果的に仕留めることができます。ゲージの選択は極めて重要で、汎用性の高い12ゲージは最も広く使われていますが、軽量で反動の少ない20ゲージは若年層や山野での狩猟に適しています。

操作方式にはポンプアクション、セミオート、上下二連、水平二連などがあり、それぞれ耐久性や操作性、装弾数に違いがあります。ポンプアクションは頑丈で価格も手頃、ブレイクアクション(中折式)は安全性が高く扱いやすいとされています。

銃身の長さやチョークの選択も狩猟スタイルに直結し、水鳥やクレー射撃には長銃身が有利で、藪の多い環境や山鳥には短銃身や絞りの強いチョークが適しています。さらにショットガンは肩付け時の自然さやバランスが重要で、直感的に素早く構えられることが実用性に直結します。

猟銃の選び方まとめ

両者を比較すると、ライフルは精度が高く長距離射撃に適しており、シカやイノシシ、エルクなど大型獲物に向いています。射程は100メートルから600メートル以上に及び、選ぶ口径によって用途が特化されます。

ショットガンは精度こそライフルに劣りますが、動く標的や近距離での狩猟に強く、鳥類やウサギ、水鳥に適しています。散弾を使えば20〜50メートル程度、スラッグ弾を使えば150メートル程度まで対応可能です。弾薬やチョークの選択によって汎用性が高まり、用途に応じた柔軟な運用が可能です。

大型の獲物や長距離射撃を想定するなら、ボルトアクションライフルを選ぶのが望ましく、鳥類や水鳥、小型の獲物を狙うなら12ゲージまたは20ゲージのショットガンを選び、狩猟環境に応じて銃身長や操作方式を決めるのが良いでしょう。

  • 日本で猟銃を選ぶ際のポイント
    • 現実的には「弾薬の入手性」「狩猟対象との適合」「反動の扱いやすさ」を考慮すると、12番か20番の散弾銃が主流となっています。
    • ライフル所持は散弾銃10年以上の所持歴証明を経て可能になるため、初心者はまず散弾銃から始めるのが実情です。
    • 銃の長さや重量、グリップ形状が体格に合っているか、射撃のしやすさ(狙いやすさ・反動の扱いやすさ)を重視します。​
    • 許可された銃に合致する弾薬であることを確認し、狩猟期間中に安定して入手できる種類を選ぶことが大切です。
    • 北海道などでは鉛製スラッグ弾が禁止されているなど、地域ごとの規制にも注意が必要です。

高地・内陸の鳥類(Upland Birds)

野鳥を狩るときは、地面から飛び立つ一瞬を狙う反射的な射撃テクニックと、鳥に合った散弾を選ぶ工夫が大切です。鳥の種類によって体の大きさや飛ぶスピードが異なるため、それぞれに合った銃のゲージや散弾のサイズを選ぶことで、しっかり命中させつつ、肉を傷めずに仕留めることができます。

キジ、ウズラ、シチメンチョウ、カモ、ガチョウなどの狩猟では、ライフルのように狙うのではなく「指す(ポイント)」感覚で撃ちます。ショットガンでスイングを維持しつつ、飛行中の鳥の頭、または頭の少し前を狙います。

シチメンチョウを静止状態で撃つ場合は、首の付け根を狙って脊椎を破壊します。専用のターキー弾を使うのが一般的です。

キジ(Pheasant)

キジ画像
獲物キジ
ゲージ12番・20番
散弾サイズ#4~#6(直径約3.30mm~2.79mm)
有効射程30~50ヤード (約27~46 m)
狙点飛行中は頭、または頭の少し前
備考野鳥狩猟向き。命中精度と散弾選択が重要。

キジは山野鳥の中でも比較的大型で、飛翔力が高く、射程は30〜50ヤード(約27~46 m)が標準です。推奨されるショットガンゲージは12番および20番であり、広範囲をカバーできる弾数と適度な反動のバランスが取れています。

使用される散弾サイズは#4〜#6で、厚い羽毛と筋肉層を貫通するためには、比較的大粒の散弾が有効です。特に#4は遠距離でのストッピングパワーに優れ、#6は近距離での拡散性と命中率を高める選択肢となります。キジは飛び立つ瞬間の反射射撃が基本であるため、拡散パターンの安定性と初速の確保が重要です。

ウズラ(Quail)

ウズラ画像
獲物ウズラ
ゲージ20番・28番
散弾サイズ#7.5~#8(直径約2.41mm~2.29mm)
有効射程20~35ヤード (約18~32 m)
狙点飛行中は頭、または頭の少し前
備考小型鳥類向き。
近距離での素早い射撃が必要。

ウズラは体重が軽く、飛翔距離も短いため、射程は20〜35ヤード (約18~32 m)と比較的近距離での射撃が中心となります。推奨されるゲージは20番および28番であり、軽量で取り回しに優れた銃が適しています。

使用される散弾サイズは#7.5〜#8で、細かい粒径によって広範囲をカバーし、素早く飛び立つ小型標的に対して高い命中率を確保できます。ウズラは群れで行動することが多く、複数個体への対応を考慮した拡散性の高い散弾が有効です。

シチメンチョウ(Wild Turkey)

シチメンチョウ画像
獲物シチメンチョウ(ターキー)
ゲージ12番・20番・.410(TSS使用時)
散弾サイズ#4~#9(直径約3.30mm~2.03mm)
有効射程30~70ヤード (約27~64 m)
狙点静止時は首の付け根
備考大型山野鳥向き。
TSS使用でより高い命中精度と貫通力。

シチメンチョウ猟では、頑丈な体を持つ鳥を即座に仕留めるため、首への精密な射撃が基本とされており、一般的に倫理的な射程距離は約30〜40ヤード(約27〜37メートル)です。近年では、鉛よりも高密度なTSS弾の普及により、12ゲージや20ゲージに加え、.410ゲージのような小口径の散弾銃でも40ヤード(約37メートル)以上の有効射程が可能となっています。

ただし、50ヤード(約46メートル)を超える射撃は例外的であり、銃と弾薬のパターン調整や射手の技量が重要です。従来の鉛弾では40ヤード(約37メートル)を超えると仕留める能力が低下するため、長距離射撃にはTSS弾が推奨されます。

いずれの場合も、確実な仕留めを狙うには頭部・首部への命中が不可欠であり、特に小口径銃では40ヤード(約37メートル)以内に限定すべきとされています。

TSS(Tungsten Super Shot / タングステン・スーパー・ショット):鉛よりも高密度のタングステン合金でできた散弾。従来の散弾よりも高い貫通力と長い有効射程を持ちます。

水鳥(Waterfowl)

北米において湿地帯や湖沼での狩猟では、鉛弾の使用が法的に禁止されており、非鉛素材による弾薬選定が必須となります。

カモ類(Ducks)

カモ画像
獲物カモ類
推奨ゲージ12番・20番
散弾サイズスチール: #2~#6(直径約3.81mm~2.79mm)
ビスマス: #3~#4(直径約3.56mm~3.30mm)
タングステン (TSS): #7~#9(直径約2.54mm~2.03mm)
有効射程30~70ヤード (約27~64 m)
狙点頭またはその少し前
(銃口のスイングを維持)
備考非鉛弾が義務化。
TSSは高価だが高威力。

カモ類は比較的小型で、飛翔速度が速く、射程はおおよそ30〜70ヤード (約27~64 m)に及びます。推奨されるショットガンゲージは12番および20番であり、反動と弾数のバランスを考慮した選定が可能です。使用される散弾素材は、環境規制により非鉛弾が義務化されており、以下の選択肢が一般的です。

  • スチール:散弾サイズ#2〜#6。安価で広く普及しているが、密度が低いため遠距離では威力が劣る。
  • ビスマス:散弾サイズ#3〜#4。鉛に近い密度を持ち、スチールよりも高いストッピングパワーを発揮する。
  • タングステン(TSS):散弾サイズ#7〜#9。高密度で、遠距離でも高い貫通力とストッピングパワーを維持できるが、価格が高いため選定には予算的配慮が必要。

カモ類の狩猟では、飛翔中の標的に対して広範囲をカバーできる散弾の選定が重要であり、特に群れの中から個体を選定して狙撃する場面では、弾道の均一性と拡散パターンの安定性が求められます。

ガチョウ(Geese)

ガチョウ画像
獲物ガチョウ
推奨ゲージ12番・10番
散弾サイズBB~#2(直径約4.57mm~3.81mm)
有効射程35~60ヤード (約32~55 m)
狙点頭またはその少し前
(銃口のスイングを維持)
備考近距離狩猟向き。弾の選択で命中率向上。

ガチョウはカモ類よりも大型で、体格・飛翔力ともに高く、射程は35〜60ヤードが一般的です。推奨されるゲージは12番および10番であり、特に10番は遠距離での高威力を確保するために選ばれることが多くあります。

使用される散弾サイズはBB〜#2が標準であり、厚い羽毛と筋肉層を貫通するためには、十分な粒径と密度が必要です。スチール弾を使用する場合は、粒径の大きいBBサイズが有効であり、ビスマスやTSSを使用する場合は、より小さなサイズでも高いストッピングパワーを発揮できます。

小型の獲物(Small Game)

ウサギやリスなどの場合、使用する武器によって狙う場所が異なります。

ライフルでは肉を傷つけないために頭を狙うのが理想です。より大きな的を狙いたい場合は心肺(胸部)を狙うと確実です。

ショットガンの場合は、散弾の中心が獲物の胴体に当たるようにします。

ウサギ・リス(Rabbit・Tree Squirrel)

リスとウサギ画像
獲物ウサギ・リス
体重0.2~1.4 kg
推奨弾薬.22 LR
.22 WMR
.17 HMR
.17 HM2
弾頭ホローポイントまたはラウンドノーズ(40~50gr)
有効射程50~100ヤード (約46~91 m, .22 LR)
125ヤードまで (約114 m, .22 WMR)
150~200ヤード (約137~183 m, .17 HMR)
狙点頭または心肺部
備考ヘッドショットで肉の損傷最小化。
ショットガン #6-7.5 弾も有効。

北米の狩猟において、ウサギやリスといった小型獲物は、初心者から熟練のハンターまで幅広い層に親しまれている対象です。これらの動物は体重がおおよそ0.2〜1.4kgと軽量であるため、狩猟技術の習得や食肉の確保を目的としたターゲットとして適しています。過剰な威力による肉の損傷を避けつつ、確実な仕留めを確保するために、適切な口径と弾頭の選定が重要となります。

推奨される弾薬としては、22ロングライフル(.22LR)、.22ウィンチェスターマグナムリムファイア(.22WMR)、.17ホーネットマグナムリムファイア(.17 HMR)、および.17ホーネットマッハ2(.17 HM2)などが挙げられます。これらはいずれもリムファイア方式の小口径弾であり、反動が小さく、精密射撃に適している点が特徴です。特に.22LRはコストパフォーマンスに優れ、近距離での使用に最適です。一方、.22WMRや.17HMRはより高初速で、100ヤード以上の中距離でも安定した弾道性能を発揮します。

リムファイア:弾薬の雷管(着火部分)が弾の縁(リム)にある形式です。主に.22LRなどの小口径弾に使用され、反動が小さい傾向があります。

弾頭の種類としては、ホローポイント(HP)またはラウンドノーズ(RN)が一般的で、重量は40〜50グレインが標準的です。ホローポイントは着弾時に拡張しやすく、ストッピングパワーに優れる一方で、肉の損傷が大きくなる傾向があります。これに対してラウンドノーズは貫通力が高く、肉の損傷を抑えたい場合に適しています。

狩猟時の理想的な狙点は頭部であり、これは可食部への損傷を最小限に抑えるためです。ただし、リスやウサギは素早く動くため、必ずしも静止状態での精密射撃が可能とは限りません。そのような状況では、ライフルではなくショットガンの使用も有効な選択肢となります。特に#6〜#7.5の散弾を用いた場合、近距離(約20〜35ヤード/約18〜32m)でのムービング・ターゲットに対して高い命中率を確保できます。林間や藪の中など視界が限られる環境では、散弾が有利に働きます。

害獣・捕食動物(Varmints & Predators)

コヨーテやキツネを狙う場合は、前脚のすぐ後ろの胸部を狙い、心臓と肺を同時に撃ち抜きます。これにより長い苦痛を与えない仕留めが期待できます。

コヨーテ(Coyote)

コヨーテ画像
獲物コヨーテ
体重11~18 kg
推奨弾薬.223 Rem
.22-250 Rem
.243 Win
.204 Ruger
弾頭バーミント弾(V-Max、Ballistic Tipなど)50~58gr
有効射程200~500ヤード (約183~457 m)
狙点前脚付け根の後ろ(心肺部)
備考毛皮保護のため軽量・急速拡張弾推奨。
体へのショットも可。地域の捕食者規制に注意。

コヨーテは体重11〜18kg程度の中型捕食動物であり、狩猟においては200〜500ヤード(約183~457 m)という比較的長距離での射撃が想定されます。

推奨される弾薬には、.223レミントン、.22-250レミントン、.243ウィンチェスター、および.204ルガーが挙げられます。これらはいずれも高速・高精度な弾道特性を持ち、遠距離での致命的な効果を発揮しつつ、過剰な肉損傷や毛皮の破損を抑えることが可能です。

使用される弾頭は、50〜58グレインの軽量バーミント弾が主流です。これらの弾頭は、急所への正確な着弾によってストッピングパワーを確保しつつ、毛皮を傷めにくい設計となっており、トロフィー目的や資源活用を意識した狩猟に適しています。特に.22-250レミントンや.243ウィンチェスターは高初速によるフラットな弾道を持ち、風の影響を受けにくいため、広い平原や開けた地形での使用に向いています。

  • バーミント (Varmint) :農作物や生態系に害を及ぼす小型の害獣。アメリカではプレーリードッグ、グラウンドホッグ、コヨーテ、キツネ、カラスなどが対象となります。これらは個体数調整や被害防止の目的で狩猟され、食用ではなく管理目的が中心です。
  • バーミント弾:小型害獣(バーミント)を遠距離から高精度で駆除するために設計された、小口径・高速・急速拡張型のライフル弾です。

キツネ(Fox)

キツネ画像
獲物キツネ
体重4~7 kg
推奨弾薬.17 HMR
.17 Hornet
.223 Rem
弾頭軽量バーミント用弾(20~40gr)
有効射程100~300ヤード (約91~274 m)
狙点前脚付け根の後ろ(心肺部)
備考小型獲物のため精密な射撃が重要。
小口径で毛皮へのダメージを最小化。

キツネは体重4〜7kgとコヨーテよりも小型で、狩猟においては100〜300ヤード(約91~274 m)の中距離での射撃が一般的です。

推奨される弾薬には、.17HMR、.17ホーネット(.17Hornet)、および.223レミントンが含まれます。特に.17口径の弾薬は、軽量かつ高速であり、小さな標的に対して精密射撃が可能です。

中型の獲物(Medium Game)

北米の中型動物は、体重が40kgから225kgまでとかなり幅があります。そんな獲物に対しては、どれくらいの距離で撃つかや、弾薬の性能を考えて弾薬を選択する必要があります。

プロングホーン、ホワイトテイルジカ、ミュールジカ、イノシシ(または野ブタ)、ジャベリナなどでは、横向きの「ブロードサイドショット(真横から撃つ)」が理想です。前脚の少し後ろ、胸の下端から3分の1ほど上を狙うと心肺に命中します。

イノシシの場合、心臓はやや低く前寄りにあるため、少し前方を狙う必要があります。斜めから撃つ場合は、弾道が心肺を通過する角度を考慮して照準を調整します。

プロングホーン(Pronghorn)

プロンホーンアンテロープ画像
獲物プロングホーン
体重40~60 kg
推奨弾薬.243 Win
6mm Creedmoor
.25-06 Rem
6.5 Creedmoor
.257 Weatherby
弾頭バリスティックチップ、ソフトポイント
.243: 90~115gr
.25: 100~120gr
6.5mm: 130~140gr
有効射程300~500ヤード (約274~457 m)
狙点前脚の後ろ、胸の下から3分の1上
備考開けた地形で長距離射撃が多いため、高BC弾頭が有利。
アンテロープは硬くないが距離が遠い。

プロングホーンは体重40〜60kgの俊敏な草原性動物で、300〜500ヤード(約274~457 m)の遠距離射撃が一般的です。

推奨される弾薬には、.243ウィンチェスター、6mmクリードモア、.25-06レミントン、6.5クリードモア、.257ウェザビーなどが挙げられます。これらは高初速かつフラットな弾道を持ち、広大な地形での精密射撃に適しています。

使用される弾頭は、90〜140グレインのソフトポイントまたはバリスティックチップが主流であり、致命性と飛翔安定性のバランスに優れています。特に風の影響を受けやすい地形では、弾道係数(BC)の高い弾頭を選ぶことで命中精度が向上します。

弾道係数 (BC / Ballistic Coefficient) :弾丸の空気抵抗の受けにくさを示す値。BCが高い弾頭は風の影響を受けにくく、遠距離で高いエネルギーを維持できます。

オジロジカ(Whitetail Deer)

オジロジカ画像
獲物オジロジカ
体重45~135 kg (オス平均 70~90 kg)
推奨弾薬.243 Win
6.5 Creedmoor
.270 Win
7mm-08
.308 Win
.30-06 Springfield
.30-30 Win(森林地帯)
弾頭ソフトポイント、ボンデッド、バリスティックチップ
6.5mm: 100~140gr
.270: 130~150gr
.30口径: 150~180gr
有効射程200~400ヤード
(約183~366 m)
狙点前脚の後ろ、胸の下から3分の1上
備考心肺部を狙う。
開けた土地は軽量弾、森林地帯は重量弾使用が目安。
弾薬は入手しやすく多用途。

オジロジカは北米で最も一般的な狩猟対象であり、体重は45〜135kgに及びます。射程は150〜400ヤード(約137~366m)が標準で、地形や射撃スタイルに応じて柔軟な対応が求められます。

推奨弾薬には、.243ウィンチェスター、6.5クリードモア、.270ウィンチェスター、7mm-08、.308ウィンチェスター、.30-06スプリングフィールド、.30-30ウィンチェスターなどがあり、特に.308ウィンチェスターと.30-06スプリングフィールドは汎用性が高く、弾薬の入手性にも優れています。

弾頭は100〜180グレインのソフトポイント、ボンデッド、バリスティックチップが適しており、急所への確実な着弾と肉の保全を両立させる設計が求められます。森林地帯では.30-30ウィンチェスターのような中速弾が有効であり、開けた地形では高初速弾が優位となります。

ボンデッド:弾頭のジャケット(被甲)とコア(弾芯)が接着されている構造。着弾時の弾頭保持力が高く、深い貫通力を維持します。

ミュールジカ(Mule Deer)

ミュールジカ画像
獲物ミュールジカ
体重70~160 kg (オス平均 90~115 kg)
推奨弾薬6.5 Creedmoor
6.5 PRC
.270 Win
.280 Rem
7mm-08
7mm Rem Mag
.308 Win
.30-06 Springfield
弾頭ボンデッド、AccuBond、Partition
6.5mm: 130~150gr
7mm: 140~160gr
30口径: 150~180gr
有効射程300~500ヤード (約274~457 m)
狙点前脚の後ろ、胸の下から3分の1上
備考西部の広大な地形での長距離射撃が多い。
平射程弾と高BC弾が有利。
ホワイトテールより大型で硬め。

ミュールジカは体重70〜160kgと大型寄りの中型獲物で、射程は300〜500ヤード(約274~457 m)に及びます。

推奨弾薬には、6.5クリードモア、.270ウィンチェスター、.280レミントン、7mmレミントンマグナム、.308ウィンチェスター、.30-06スプリングフィールドが挙げられ、いずれも遠距離での致命性と弾道安定性を兼ね備えています。

弾頭は130〜180グレインのボンデッドまたはパーティションタイプが推奨され、厚い筋肉や骨格を貫通しつつ、内部損傷を確実に与える性能が求められます。特に山岳地帯や高地での狩猟では、弾道係数と初速の両立が重要です。

  • AccuBond(アキュボンド)
    • ノスラー(Nosler)社が製造する狩猟用弾頭で、鉛コアと銅ジャケットを強固に接合した構造を持ち、安定した拡張と深い貫通力を両立します。
    • ポリマーチップ付きで空力性能が高く、約1800fps以上の衝突速度で確実に拡張し、致命傷を与えるのに十分な貫通力を維持します。
    • 長距離射撃向けには「AccuBond Long Range」もあり、500ヤード以上の低速域(約1300fps)でも拡張するよう設計されています。こちらは拡張性を優先し、重量保持率はやや低めです。
  • Nosler Partition(ノスラー・パーティション)
    • 狩猟用として高い評価を受けているプレミアム弾頭で、内部に金属製の仕切りを持つ二重構造が特徴です。
    • 前方の鉛コアは衝突時に素早く拡張して大きな損傷を与え、後方のコアは仕切りによって守られ、約70〜80%の重量を保持しながら深く貫通して重要臓器に到達します。
    • この設計により、拡張性と貫通力のバランスが取れており、シカやイノシシからムースのような大型獣まで幅広く対応可能です。
    • 比較的低速でも安定して拡張し、骨を砕くほどの威力と信頼性を持ち、1948年の登場以来、長年にわたり実績のある弾頭として支持されています。

イノシシ・野生ブタ(Wild Boar・Feral Hog)

イノシシ画像
獲物イノシシ / 野生ブタ
体重45~180+ kg
推奨弾薬.243 Win
6.5 Creedmoor
6.8 Western
7mm-08
.308 Win
.30-06 Springfield
.300 Win Mag
.45-70 Gov’t
弾頭ボンデッド、コントロールエキスパンション
6.5mm: 140+gr
30口径: 150~180gr
.45-70: 300+gr
有効射程100~300ヤード (約91~274 m)
狙点胸の前方・低めの位置
備考肩と筋肉が硬い。重量弾使用で貫通力確保。
近距離は.44 Magnumや12ゲージ 000バックスショットも有効。

イノシシは体重45〜180kg以上と個体差が大きく、厚い肩部筋肉と硬い骨格を持つため、貫通力に優れた弾薬が必要です。

推奨弾薬には、.243ウィンチェスター、6.5クリードモア、.308ウィンチェスター、.30-06スプリングフィールド、.300ウィンチェスターマグナム、.45-70ガバメントが挙げられ、特に.300ウィンチェスターマグナムや.45-70ガバメントは大型個体への対応力に優れています。

弾頭は140〜300グレインのボンデッド弾が推奨され、急所への着弾だけでなく、肩甲骨を貫通して致命傷を与える能力が重視されます。射程は100〜300ヤード(約91~274 m)が一般的で、近距離でのストッピングパワーが求められる場面も多くあります。

ジャベリナ(Javelina)

ペッカリー画像
獲物ジャベリナ(ペッカリー)
体重16~27 kg
推奨弾薬.223 Rem
.243 Win
6.5 Creedmoor
.308 Win
弾頭強固なコントロールドエクスパンション弾(55~120gr)
有効射程100~300ヤード (約91~274 m)
狙点胸の前方・低めの位置
備考小型だが筋肉質で走行速度が速いため、心肺部への正確な命中が重要。

ジャベリナ(ペッカリー)は北米南部から中米にかけて分布する小型の偶蹄類であり、体重はおおよそ16〜27kgと、イノシシよりもやや小柄ながらも筋肉質で俊敏な性質を持ちます。群れで行動することが多く、狩猟においては複数個体との遭遇が想定されるため、弾薬にはストッピングパワーと貫通力の両立が求められます。

推奨される弾薬には、.223レミントン、.243ウィンチェスター、6.5クリードモア、.308ウィンチェスターが挙げられます。これらはいずれも中〜高初速で、100〜300ヤード(約91~274 m)の射程において安定した弾道性能を発揮します。特に.223レミントンは軽量で反動が少なく、近距離での精密射撃に適していますが、骨格の強い個体に対しては.243ウィンチェスター以上の口径がより確実なストッピングパワーを実現します。

使用される弾頭は、55〜120グレインの強固なコントロールドエクスパンション弾が推奨されます。このタイプの弾頭は、着弾時に制御された拡張を行いながら、構造的保持力を維持することで、厚い肩部筋肉や骨格を貫通し、内部臓器に致命的な損傷を与える設計となっています。ジャベリナは被弾後も短距離を走ることがあるため、急所への正確な着弾と弾頭の貫通性能が重要です。

また、ジャベリナの狩猟では、群れの中から個体を選定して狙撃する必要があるため、弾道の安定性と射撃精度が必要です。地形は藪地や低木地帯が多く、視界が限られる場面では、素早い照準と即応性が求められます。弾薬選定においては、過剰な拡張による肉の損傷を避けつつ、確実なストッピングパワーを確保するバランスが鍵となります。

コントロールドエクスパンション弾(Controlled Expansion / 制御拡張)とは、弾頭が標的に命中した際に一定の速度・深度・形状で拡張するよう設計された構造を指します。

通常のエクスパンディング(拡張弾)弾(例:ホローポイント弾)は着弾時に急激に拡張しますが、コントロールドタイプは拡張の度合いを制御することで、過度な拡張や浅すぎる貫通深度を防ぎます。

  • 代表的な設計要素:
    • チップ付きホローポイント:拡張開始を安定化。
    • ボンデッドコア(鉛芯とジャケットの接着):拡張時に弾頭が分離せず、貫通力を維持。
    • メカニカルロック:拡張の限界を物理的に制御。

大型の獲物(Large Game)

狙点については、カリブー、エルク、ムースなどの大型獣も基本は中型獣と同じです。横向きで、前脚の後ろ、胸の下から3分の1ほど上を狙えば心肺に命中します。これにより高い即効性が得られます。

カリブー(Caribou)

ガリブー画像
獲物カリブー
体重70~180 kg (オス平均 110~160 kg)
推奨弾薬6.5 Creedmoor
6.5 PRC
7mm Rem Mag
.270 Win
.280 Rem
.308 Win
.30-06 Springfield
.300 Win Mag
弾頭ボンデッド、AccuBond、Partition
6.5mm: 130~150gr
7mm: 140~175gr
30口径: 165~220gr
有効射程300~500ヤード (約274~457 m)
狙点前脚の後ろ、胸の下から3分の1上
備考長距離での射撃が多いため、BCの高い弾薬が有利。
心肺部狙いが基本。

カリブーは体重70〜180kgの群生性大型獣で、広大なツンドラ地帯や高原での狩猟が一般的です。風の影響を受けやすい地形では弾道係数の高い弾頭が有利に働きます。

推奨される弾薬には、.25-06レミントン、6.5クリードモア、.270ウィンチェスター、7mmレミントンマグナム、.308ウィンチェスター、.30-06スプリングフィールドなどが挙げられます。

弾頭は115〜180グレインのソフトポイントまたはボンデッドタイプが適しており、急所への着弾による致命性と肉の保全を両立させる設計が求められます。特に群れで行動するカリブーに対しては、初弾で確実に仕留める精度が重要です。

エルク(Elk)

エルク画像
獲物エルク(ワピチ / アメリカアカシカ)
体重200~450 kg (オス平均 320~400 kg)
推奨弾薬7mm Rem Mag
.300 Win Mag
.30-06 Springfield
.338 Win Mag
.375 Ruger (大型個体用)
弾頭ボンデッド、Partition、AccuBond、TTSX
7mm: 150~175gr
30口径: 165~220gr
.338: 200~250gr
.375: 270~300gr
有効射程300~600ヤード (約274~549 m)
狙点前脚付け根の後ろ、胸の下から3分の1上
備考大型で筋肉量が多く、深貫通弾が必要。
広大な平原や山岳地帯での長距離射撃向け。

エルクは体重200〜450kgに達する北米最大級の狩猟対象の一つであり、200〜500ヤード(約183〜457m)の遠距離射撃が想定されます。

推奨弾薬には、.270ウィンチェスター、7mmレミントンマグナム、.30-06スプリングフィールド、.300ウィンチェスターマグナム、.338ウィンチェスターマグナムが含まれ、いずれも高初速・高エネルギーを備えた設計です。

弾頭は165〜220グレインのコントロールドエクスパンションタイプが推奨され、着弾後に一定の拡張を行いつつ、貫通力と保持力を両立させる構造が求められます。エルクは厚い肩部筋肉と強靭な骨格を持つため、単なる拡張性ではなく、内部損傷を確実に与える弾頭設計が不可欠です。特に.300ウィンチェスターマグナムや.338ウィンチェスターマグナムは、遠距離でも十分な運動エネルギーを維持できるため、山岳地帯や風の強い環境下での使用に適しています。

ヘラジカ(Moose)

ムース画像
獲物ヘラジカ(ムース)
体重360~700+ kg (オス平均 450~600 kg)
推奨弾薬.300 Win Mag
.338 Win Mag
.375 Ruger
.45-70 Gov’t
弾頭ボンデッド、Partition、TTSX、Hardcast
30口径: 180~220gr
.338: 200~250gr
.375: 270~300gr
.45-70: 300+gr
有効射程150~400ヤード (約137~366 m)
狙点前脚付け根の後ろ、胸の下から3分の1上
備考非常に大型で頑丈な骨格。
心肺部への一発を重視。
近距離では重口径ライフルや大口径ハンドガンも選択肢。

ヘラジカは体重360〜700kgと北米最大級の大型獣であり、狩猟においては最も高い貫通力と弾頭保持力が要求されます。射程は150〜400ヤード(約137~366 m)が一般的で、近距離でのストッピングパワーと安全性が特に重視されます。

推奨弾薬には、.270ウィンチェスター、7mmレミントンマグナム、.30-06スプリングフィールド、.338ウィンチェスターマグナム、.45-70ガバメントが挙げられ、特に.338ウィンチェスターマグナムや.45-70ガバメントは極端な体格に対しても十分な貫通力を発揮します。

弾頭は180〜405グレインが推奨され、威力よりも弾頭構造そのものが重要視されます。具体的には、着弾後に変形せず、筋肉層・骨格・脂肪層を貫通し、内部臓器に確実な損傷を与える能力が求められます。ヘラジカは臓器の位置が深く、急所への到達には高い弾頭保持力(着弾後分裂しない弾頭)が必須です。

山岳地帯の獲物(Mountain Game)

山岳地帯に生息する獲物は、ハンターにとって最も過酷な環境下での技術と装備の総合力が試される対象です。急峻な岩場、変化の激しい気象、長距離射撃、そして限られた射撃角度といった条件が重なるため、弾薬の選定には精密性・貫通力・弾道安定性のすべてが求められます。

狙点については、マウンテンゴート、ビッグホーンシープ、ダールシープなども、基本はシカと同様に心肺部を狙います。地形や射角によって照準を調整しますが、急所は変わりません。

マウンテンゴート(Mountain Goat)

マウンテンゴート画像
獲物マウンテンゴート
体重70~135 kg
推奨弾薬.243 Win
6.5 Creedmoor
6.5 PRC
7mm-08
.270 Win
.308 Win
弾頭ボンデッド、Partition、AccuBond
6.5mm: 120~140gr
7mm: 140~150gr
30口径: 150~165gr
有効射程150~300ヤード (約137~274 m)
狙点前脚付け根の後ろ、心肺部
備考急峻な山岳地帯での射撃。
軽量で高BC弾を使用して正確性重視。
心肺部狙い。

マウンテンゴートは体重70〜135kgの中型獲物で、標高の高い断崖地帯に生息しており、射程は200〜400ヤード(約183〜366m)が一般的です。推奨される弾薬には、.243ウィンチェスター、.25-06レミントン、6.5クリードモア、.270ウィンチェスター、7mmレミントンマグナム、.308ウィンチェスターが挙げられます。これらは高初速かつフラットな弾道を持ち、傾斜地での遠距離射撃においても安定した命中精度を確保できます。

使用される弾頭は95〜180グレインのプレミアムソフトポイントが推奨されます。これは急所への着弾時に適度な拡張を行い、致命性を確保しつつ肉の損傷を抑える設計です。マウンテンゴートは被弾後に急斜面から転落するリスクがあるため、ストッピングパワーと精密性の両立が特に重要です。

ビッグホーン・ダルシープ(Bighorn & Dall Sheep)

ビッグホーン画像
獲物ビッグホーンシープ
体重70~135 kg (オス平均 90 kg)
推奨弾薬.243 Win
6.5 Creedmoor
6.5 PRC
7mm-08
.270 Win
.308 Win
弾頭ボンデッド、Partition、AccuBond
6.5mm: 120~140gr
7mm: 140~150gr
30口径: 150~165gr
有効射程150~300ヤード (約137~274 m)
狙点前脚付け根の後ろ、心肺部
備考険しい山岳地帯での狩猟。
軽量で平射程精度の高い弾薬を使用し、心肺部への命中を重視。

ビッグホーンおよびダルシープも同様に体重70〜135kgの中型獲物で、標高の高い岩場に生息し、射程は200〜500ヤード(約183〜457m)に及びます。

推奨弾薬には、6.5クリードモア、.270ウィンチェスター、7mmレミントンマグナム、.30-06スプリングフィールド、.300ウィンチェスターマグナムが挙げられ、いずれも遠距離での弾道安定性と致命性を兼ね備えた選択肢です。

弾頭は130〜180グレインのボンデッドまたはパーティションタイプが推奨されます。これらは着弾後の保持力と貫通力に優れ、厚い筋肉や骨を貫き、急所に確実な損傷を与える構造です。特にダルシープは警戒心が強く、狙撃の機会が限られるため、初弾での確実な仕留めが求められます。

危険な獲物(Dangerous Game)

動物集合画像

狩猟用語の「デンジャラスゲーム」は、人間に対して致命的な反撃能力を持つ野生動物の狩猟対象を指します。

アフリカのビッグファイブ(ライオン、ゾウ、サイ、ヒョウ、ケープバッファロー)、北米のグリズリーベア、アフリカのナイルワニなどが含まれます。

狙点については、ブラック・ベアやグリズリーのような大型獣では、肩甲骨のやや後方を狙って両肺を撃ち抜くのが基本です。仕留めの即効性を重視する場合は前脚付け根の高い位置を狙います。

ライオン、ヒョウ、ナイルワニ、ケープバッファロー、サイ、ゾウなどの危険獣では、それぞれ身体構造を理解する必要があり、以下の部分を狙います。

  • ライオン / ヒョウ
    • 前脚付け根または胸(心肺部)
  • ナイルワニ
    • 胸部の狭い範囲、または脳を狙うと即効性あり
  • バッファロー / サイ / ゾウ
    • 横向きの心肺部を狙う
    • ゾウの場合は状況により脳(こめかみ付近)または心臓を狙う

ブラックベア(Black Bear)

ブラック・ベア画像
獲物ブラックベア
体重90~225 kg (平均 113~136 kg)
推奨弾薬.270 Win
7mm-08
7mm Rem Mag
.308 Win
.30-06 Springfield
.300 Win Mag
.338 Win Mag
.45-70 Gov’t
弾頭ボンデッド、Partition、コントロールエキスパンション
7mm: 150~180gr
30口径: 165~220gr
.45-70: 300+gr
有効射程100~300ヤード (約91~274 m)
狙点前脚付け根の後方約10cm(心肺部)
備考最低エネルギー 1,500 ft-lbf 必須。
厚い筋肉と皮膚に高貫通弾が必要。
ハンドガン使用時は.44 マグナムにハードキャスト弾を推奨。

ブラック・ベア(クロクマ)は体重90〜225kgに達する強靭な大型獣であり、狩猟においては最低1,500ft-lbfのマズルエナジーを持つ弾薬が推奨されます。

推奨弾薬には、.270ウィンチェスター、7mmレミントンマグナム、.308ウィンチェスター、.30-06スプリングフィールド、.338ウィンチェスターマグナム、.45-70ガバメントが含まれ、いずれも高威力かつ深部貫通性に優れた選択肢です。

弾頭は150〜300グレインのパーティションまたはボンデッドタイプが適しており、厚い脂肪層と筋肉を貫通し、致命的な内部損傷を与える必要があります。射程は100〜300ヤード(約91〜274m)が標準であり、近距離でのストッピングパワーと安全性が特に重視されます。

ブラックベア用弾薬は日本のツキノワグマにも十分有効ですが、日本の本州では12番スラッグ弾を用いた散弾銃によるクマ猟が多く行われています。

グリズリー(Grizzly)

グリズリー画像
獲物グリズリー
体重180~680 kg
推奨弾薬.30-06 Springfield
.300 Win Mag
.338 Win Mag
.375 H&H Magnum
.375 Ruger
.416 Rem Mag
弾頭パーティション弾 / モノリシック弾(200~400gr)
有効射程100~300ヤード (約91~274 m)
狙点前脚付け根の後方約10cm(心肺部)
備考最低2,000 ft-lbfのエネルギーが望ましい。
貫通力の高い弾が必須。

北米におけるグリズリーは、狩猟対象の中でも最も高い危険性を伴う大型獣であり、弾薬選定においては致命性だけでなく、狩猟者自身の安全確保が最優先されます。体重は180〜680kgに達し、厚い脂肪層と強靭な骨格、さらに高い攻撃性を持つため、弾薬には高い貫通力と運動エネルギー伝達が求められます。

推奨される弾薬は、.30-06スプリングフィールドを最低限とし、.300ウィンチェスターマグナム、.338ウィンチェスターマグナム、.375H&Hマグナム、.375ルガー、.416レミントンマグナムなどが挙げられます。これらはいずれも2,000ft-lbf以上のマズルエナジーを発揮できる設計であり、近〜中距離(100〜300ヤード / 約91~274 m)でのストッピングパワーを確保するために不可欠です。

使用される弾頭は、200〜400グレインのパーティション弾またはモノリシック弾が推奨されます。パーティション弾は着弾後に前部が拡張し、後部が保持されることで深部貫通力を確保する構造を持ちます。一方、モノリシック弾は単一素材で構成されており、変形せずに厚い筋肉層や骨格を貫通する能力に優れています。いずれも、臓器への到達と同時に骨格破壊を伴う致命傷を与えることが可能であり、反撃のリスクを最小限に抑えるために必要な選択肢です。

モノリシック弾(Monolithic Bullet):銅や真鍮などの単一金属から削り出された一体構造の弾頭。鉛を含まず環境に優しく、高い貫通力と形状安定性を持つため、大型獣の狩猟や精密射撃に適しています。

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ヒョウ(Leopard)

ヒョウ画像
獲物ヒョウ
体重30~90 kg
推奨弾薬7mm Rem Mag
7×57 Mauser
7mm-08 Rem
7mm Wby Mag
.30-06 Springfield(精密射撃なら小口径でも可)
弾頭ソフトポイント
コントロールドエクスパンション弾(120~180gr)
有効射程50~150ヤード(約46~137 m)
狙点前脚付け根または胸(急所)
備考正確な初弾命中が最重要。
要求エネルギーや法規は地域で異なるためプロハンターと相談必須。

ヒョウは、体重が30〜90kgほどの小型から中型に分類される大型猫であり、非常に俊敏で筋肉質な体躯を持っています。そのため、狩猟においては確実に内部損傷を与えることが重要視されます。特に初弾の命中精度が成功の鍵となるため、射撃の正確性を最優先に考慮する必要があります。

使用する弾薬としては、7×57mmマウザーなどの7mmクラスが基本的に推奨されており、精密射撃が可能であれば.30-06 スプリングフィールドのような汎用性の高い口径も選択肢となります。弾頭は拡張するソフトポイントが適しており、120〜180グレイン弾が理想的です。射程距離はおおよそ50〜150ヤード(約46〜137メートル)とされており、この範囲内で正確な初弾を撃ち込むことが求められます。

ヒョウの筋肉は硬く、動きも非常に素早いため、外傷だけでは逃走される可能性が高くなります。したがって、弾頭の性能と射手の精度が重要であり、多くの現地ガイドやプロハンターは口径の大きさよりもこれらの要素を重視します。

ライオン(Lion)

ライオン画像
獲物ライオン
体重120~250 kg(雄)
推奨弾薬.375 H&H Magnum(最低)
.416 Rigby
.458 Win Mag
.458 Lott
.458 Express
.450 Rigby
弾頭高信頼の拡張弾 / 重量弾(250~400gr、用途によりソリッドも検討)
有効射程30~150ヤード(約27~137 m)
狙点前脚付け根または胸(急所)
備考夜間や餌場での低照度射撃が多く、良好な光学機器が必須。
多くの狩猟関係者は.375を最低とし、より大口径を推奨。

ライオンは、雄であれば体重が120~250kgにも達する大型の肉食獣であり、アフリカ狩猟において「危険な獣(Dangerous Game)」の代表格とされています。そのため、狩猟時には瞬時に動きを止めるストッピングパワーが重要であり、弾薬と銃の選定には慎重な判断が求められます。

多くの地域では、ライオン狩猟に使用する最低口径が法令や慣習によって定められており、実戦においては.375 H&H マグナムが最低ラインとされることが一般的です。より安全性と余裕を持たせるために、.416リグビーや.458系(.458ウィンチェスターマグナム/.458Lott/.458エクスプレス)の大口径を選択するハンターも多く見られます。

使用する弾頭は、250~400グレインの高信頼性拡張弾が推奨されており、状況によっては貫通力を重視したソリッド弾の使用も検討されます。

ソリッド弾(solid bullet):中空構造や拡張機能を持たない、硬質な一体型の弾頭。最大の貫通力を必要とする大型獣猟などに使われます。

ナイルワニ(Nile crocodile)

ナイルワニ画像
獲物ナイルワニ
体重100~1,000+ kg(サイズ差大)
推奨弾薬.338 Win Mag
.338 Lapua
.338 RUM
.340 Wby Mag
.416 Rigby
.416 Rem Mag
.458 Win Mag
弾頭高い貫通力を持つソリッドまたはモノリシック弾
重量弾(250~500gr)
有効射程10~100ヤード(約9~91 m)
狙点胸部または脳(角度による)
備考厚い頭部・骨格を貫通できる弾が必要。
近距離での確実な初弾命中が求められる。
ショットガンのスラッグや大型拳銃がバックアップになる場合あり。

ナイルワニは、体重が100kgから1,000kgを超える個体まで存在するサイズ差の大きい大型爬虫類であり、その狩猟には特有の装備と戦略が求められます。特にその体表は非常に硬く、頭骨も頑丈であるため、通常の拡張弾では十分な効果が得られないことがあります。したがって、弾薬には高い貫通力を持つソリッド弾やモノリシック弾が推奨され、250〜500グレインの重量弾を用いることで、厚い骨格を確実に貫通し、致命的な損傷を与えることが可能となります。

推奨される弾薬は、一般的な中〜大型個体に対しては.338クラス(.338ウィンチェスターマグナム/.338レミントンウルトラマグナム/.338ラプアマグナム)から.340ウェザビーマグナム、.375 H&H マグナムが適しており、特に大型個体に対しては.458 ウィンチェスターマグナムのようなより大口径の弾薬が選ばれる傾向にあります。

射撃距離は比較的短く、10〜100ヤード(約9〜91メートル)程度が想定されるため、近距離での正確な初弾命中が重要です。ナイルワニは水辺や岸辺での待ち伏せ猟が主となるため、射撃機会は限られており、初弾で確実に仕留めることが求められます。

また、状況によってはショットガンのスラッグ弾や大型拳銃がバックアップとして用いられることもありますが、あくまで補助的な手段であり、主たる狩猟には高威力かつ高精度のライフルが必須です。

ケープバッファロー(Cape buffalo)

ケープバッファロー画像
獲物ケープバッファロー
体重400~900 kg
推奨弾薬.375 H&H Mag(最低)
.416 Rem Mag
.458 Win Mag
弾頭高貫通のソリッド(300~500gr)または頑丈な拡張弾
有効射程25~150ヤード(約23~137 m)
狙点心臓または前脚付け根(深い貫通を狙う)
備考攻撃性が高く近接での反撃が多いため、確実な貫通力と速いフォローアップが重要。
法律や現地慣行に従うこと。

ケープバッファローは、体重が400〜900kgにも達する大型の草食獣であり、アフリカ狩猟において「最も危険な獣」の一つとされています。攻撃性が非常に高く、手負いの個体が至近距離で反撃してくる事例も多いため、狩猟者には高い貫通力と迅速なフォローアップ射撃が求められます。

使用する弾薬については、多くのハンターが.375 H&H マグナムを最低口径と考えており、より安全性とストッピングパワーを確保するために.416 レミントンマグナムや.458ウィンチェスターマグナム系の大口径を選択する傾向があります。弾頭は、300〜500グレインの高貫通性を持つソリッド弾、あるいは骨や筋肉を貫通して中枢に到達できる頑丈な拡張弾が推奨されます。射撃距離はおおよそ25〜150ヤード(約23〜137メートル)であり、近距離での正確な初弾命中が重要です。

ケープバッファローの骨格と筋肉は非常に厚く密度が高いため、弾薬の性能が不十分であれば致命傷に至らず、逆に危険な状況を招く可能性があります。そのため、ダブルライフルや大口径のストック装備の銃が選ばれることが多く、反撃への備えとしても信頼性の高い装備が求められます。

サイ(Rhinoceros)

サイ画像
獲物サイ(シロサイ / クロサイ)
体重800~2,300 kg(種類と個体差大)
推奨弾薬.375 H&H Mag(最低)
.416 Rem Mag
.458 Win Mag
.500 Nitro Express
弾頭高貫通のソリッド / モノリシック弾(400~600gr以上を推奨)
有効射程20~100ヤード(約18~91 m)
狙点心臓または前脚付け根(深い貫通を狙う)
備考体格が大きく、厚い皮膚と骨格を持つため、より大口径と高い貫通力が望まれる。
急所への命中が必須。

サイ(シロサイ / クロサイ)は、体重が800kgから2,300kgにも達する大型の草食獣であり、種類や個体によって体格差が非常に大きいのが特徴です。その体躯は厚い皮膚と強固な骨格に覆われており、通常の拡張弾では十分な効果を得ることが難しいため、狩猟には高貫通力を備えた弾薬が不可欠です。

多くの狩猟業者は.375 H&H マグナムを最低口径としていますが、実戦ではより大きな口径、すなわち.416レミントンマグナム、.458ウィンチェスターマグナム、あるいは.500ニトロエクスプレス系のライフルが選ばれる傾向にあります。使用する弾頭は、400〜600グレイン以上のソリッド弾やモノリシック弾が推奨されており、これにより厚い骨格を貫通し、深部の中枢に到達させることが可能となります。

射撃距離は比較的短く、20〜100ヤード(約18〜91メートル)程度が想定されるため、近距離での正確な急所への命中が重要です。サイはその巨体に加え、突発的な行動を取ることもあるため、初弾で確実に致命的な損傷を与える必要があります。狩猟者は、弾薬の性能だけでなく、銃の操作性や反動制御にも配慮し、状況に応じた装備選定を行うべきです。

ゾウ(Elephant)

ゾウ画像
獲物ゾウ(アフリカ象)
体重2,500~6,000 kg(雄はさらに大きい)
推奨弾薬.375 H&H Mag(最低)
.416 Rigby
.458 Win Mag
.470 Nitro Express
.500 Nitro Express
.600 Nitro Express
(大型では非常に強力な弾を推奨)
弾頭高い貫通力を持つソリッド
(400gr以上、狙いにより700〜900grも使用)
有効射程10~100ヤード(約9~91 m)
狙点脳または心臓(角度による)
備考ゾウは圧倒的な体格を持つため、余裕のある口径を選ぶのが常識。
ダブルライフルや大型マグナムを用いる経験豊富なハンターが推奨。
プロハンターと十分に相談すること。

アフリカゾウは、狩猟対象として最も体格が大きく、最も厳しい要求が課される動物の一つです。雄の個体では体重が6,000kgを超えることもあり、その圧倒的な質量と骨格の強靭さから、使用する弾薬と銃には最大級の性能が求められます。

多くのベテランハンターは.375 H&H マグナムを「最低限の口径」と位置づけており、実際の現場では.416リグビー、.458ウィンチェスターマグナム、.470ニトロエクスプレス、さらには.500 ニトロエクスプレスや.600ニトロエクスプレス系といった超大口径のマグナムライフルが選ばれる傾向にあります。

弾頭には高い貫通力が必要であり、400グレイン以上のソリッド弾が基本とされます。狙点や個体のサイズによっては、700〜900グレインの超重量弾が使用されることもあります。これにより、厚い頭骨や胸郭を貫通し、脳や心臓などの中枢部位に即座に致命的な損傷を与えることが可能となります。射撃距離は10〜100ヤード(約9〜91メートル)と短く、近距離での正確な急所への命中が不可欠です。

ゾウの狩猟では、ダブルライフルや大型マグナム銃を扱える経験豊富なハンターが推奨されており、反動のコントロールやフォローアップ射撃の技術も重要な要素となります。

【空想考察】もしもティラノサウルスを狩るなら・・・?

ティラノサウルス画像

仮にティラノサウルスを狩猟対象とするなら、どのような弾薬が必要かを考察してみます。

アフリカゾウの心臓は皮膚から約50〜70cmの深部に位置するとされます。一方、ティラノサウルスの場合は約30cm〜1mと推定され、個体によってはゾウ用の弾薬でも心臓に到達可能と考えられます。

ただし、個体が巨大である場合や、皮膚・筋肉の硬度が高い場合には、.375 H&H マグナムでは心臓への到達が困難と推測されます。最大の貫通力を得るためには、モノリシック弾の使用が望ましく、以下のような大口径弾薬が有力候補となります:

  • .416 バレット(対物ライフル用)
  • .50 BMG(高貫通力を誇る軍用規格)
  • .460 ウェザビーマグナム
    • .460 ウェザビーマグナムは、ケープバッファローに対して約1メートル(40インチ)の貫通を達成した報告があり、ティラノサウルスの胸部貫通にも有望と考えられます。

さらに、文字通り「.577 ティラノサウルス(.577 T-Rex)弾」というライフル弾が存在します。1993年にA-Square社が大型獣用の「ストッピングライフル」として開発し、弾頭重量約750グレインの14.9mm弾を2,450 fpsで発射、10,180 ft-lbfのマズルエナジーを誇ります。

これらの弾薬は、想定される肉厚・骨格に対して十分な貫通力を持ち、致命部位への到達を可能にする可能性があります。

なお、名称が似ているライフルに「Snipex T-Rex」が存在します。ウクライナ製の単発(シングルショット)式対物ライフルで、14.5×114mm弾を使用。こちらも有用と考えられます。

弾薬一覧:スペック表

この記事に登場した弾薬一覧です。

これらの値は標準的な弾薬の代表値であり、一般的な比較を目的としています。実際の性能は、特定の弾薬、銃身長、および環境条件によって異なる場合があります。

  • 日本国内で入手可能な弾薬例:
    • .22 Long Rifle (.22LR)
    • .243 Winchester
    • 6.5 Creedmoor
    • .270 Winchester
    • .270 Winchester Short Magnum (WSM)
    • 7mm Remington Magnum
    • .30 Carbine
    • .30-30 Winchester
    • .308 Winchester
    • .300 Winchester Short Magnum (WSM)
    • .300 Winchester Magnum
    • .30-06 Springfield

リムファイア・小口径弾

弾薬弾頭重量
(gr)
初速
(fps)
マズルエナジー
(ft-lbf)
.17 HM2172,100166
.17 HMR172,550245
.17 Hornet203,6501,413
.204 Ruger324,2251,300
.22 LR401,235136
.22 WMR401,875325
.22-250 Rem553,6801,650
.223 Rem553,2401,280

中口径弾

弾薬弾頭重量
(gr)
初速
(fps)
マズルエナジー
(ft-lbf)
.243 Win953,0001,945
.25-06 Rem1173,2202,820
.257 Weatherby1153,5003,100
6mm Creedmoor1053,0002,000
6.5 Creedmoor1402,7102,350
6.5 PRC1432,9502,800
6.8 Western1402,9702,700
7mm-08 Rem1402,8602,350
.270 Win1303,0602,700
.280 Rem1502,8502,700

大口径弾・マグナムカートリッジ

弾薬弾頭重量
(gr)
初速
(fps)
マズルエナジー
(ft-lbf)
.30-30 Win1502,3901,890
.308 Win1502,8202,650
.30-06 Springfield1502,9102,820
.300 Win Mag1802,9603,500
.338 Win Mag2002,9603,600
.338 Lapua2502,9304767
.338 RUM2503,0004,200
.340 Weatherby Mag2253,3004,600
.375 H&H Mag3002,5504,300
.375 Ruger3002,6504,600
.416 Rem Mag4002,4004,800
.416 Rigby4002,4004,800
.450 Rigby5002,1505,000
.458 Win Mag5002,1505,000
.458 Lott5002,2005,200
.458 Express5002,1505,000
.470 Nitro Express5002,1505,000
.500 Nitro Express5702,1505,600
.600 Nitro Express9002,0508,000
.460 Weatherby Mag5002,7008,100
.577 T-Rex7502,45010,180
.50 BMG6602,80015,000
14.5×114mm9933,30024,500

拳銃弾・大口径弾

弾薬弾頭重量
(gr)
初速
(fps)
マズルエナジー
(ft-lbf)
.44 Magnum2401,400800
.45-70 Gov’t3001,8502,200
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獲物別:推奨される弾薬一覧

鳥類狩猟の推奨散弾サイズ

鳥類集合画像

以下の表は、日本と北米で一般的に行われる鳥猟に対応した、推奨ショットサイズと有効射程をまとめたものです。

鳥類名推奨ショットサイズ有効射程
ウズラ#7.5~#8
(地域により#6も可)
20~35 yd(約18~32 m)
キジ#4~#630~50 yd(約27~46 m)
ヤマウズラ#6~#7.525~40 yd(約23~37 m)
ライチョウ類#6~#7.525~40 yd(約23~37 m)
ハト類#7~#825~40 yd(約23~37 m)
カモ類スチール #2~#6
ビスマス #3~#4
TSS #7~#9
30~50 yd(約27~46 m)
最大70 yd(約64 m, TSS使用時)
ガチョウ類BB~#235~60 yd(約32~55 m)
シチメンチョウ#4~#9
(TSS使用時は#7~#9)
20~50 yd(約18~46 m)
最大70 yd(約64 m, TSS使用時)
カラス類#6~#7.525~45 yd(約23~41 m)
※数値は目安です。

各値は実務上の目安です。法令により水鳥狩猟では非鉛(スチール・ビスマス・TSS等)が義務化されている地域がありますので、必ず現地規則を確認してください。

TSSなど高密度弾は遠距離での有効性を高めますが、銃ごとのパターン調整が必要です。最終的な弾種・チョークの選択は、使用するゲージ、射距離、狩猟対象の大きさ、そして安全確保を最優先に判断してください。

  • 散弾はペレット(金属球)の直径で用途が変わります。
  • #9(約2.03mm)はクレー射撃や小鳥用で、密なパターンと近距離向きです。
  • 一方、BB(約4.57mm)や#2(約3.81mm)はガチョウなど大型鳥に使われ、打撃力が強く中距離にも対応します。
  • 番号が小さくなるほどペレットは大きくなり、威力は増すが弾数は減ります。
  • 用途に応じて適切なサイズを選ぶことが重要です。

推奨ライフル弾一覧

野ウサギ、コヨーテ、イノシシ、シカ、エルク、ムース、バイソン画像

以下の表は、代表的な狩猟対象ごとに現場で実用的に使われる口径と弾頭の傾向をまとめたものです。各項目は一般的な目安です。地域の法規や個体差、銃の特性で最適解は変わります。

獲物推奨弾薬弾頭
リス
ウサギ
.22 LR
.22 WMR
.17 HMR
.17 HM2
ホローポイント
RN(40~50gr)
キツネ.17 HMR
.17 Hornet
.223 Rem
軽量バーミント弾(20~40gr)
ジャベリナ.223 Rem
.243 Win
6.5 Creedmoor
.308 Win
丈夫なコントロールドエクスパンション(55~120gr)
コヨーテ.223 Rem
.22-250 Rem
.243 Win
.204 Ruger
バーミント弾(50~58gr)
ホワイトテールジカ.243 Win
6.5 Creedmoor
.270 Win
7mm-08
.308 Win
.30-06 Springfield
.30-30 Win(森林)
ソフトポイント
ボンデッド
BT
(100~180gr)
プロンホーン.243 Win
6mm Creedmoor
.25-06 Rem
6.5 Creedmoor
.257 Weatherby
BT
ソフトポイント
(90~140gr)
ミュールジカ6.5 Creedmoor
6.5 PRC
.270 Win
.280 Rem
7mm-08
7mm Rem Mag
.308 Win
.30-06 Springfield
ボンデッド
Partition
(130~180gr)
イノシシ
野生ブタ
.243 Win
6.5 Creedmoor
.308 Win
.30-06 Springfield
.300 Win Mag
.45-70 Gov’t
ボンデッド
強貫通弾
(140~300gr)
ブラックベア.270 Win
7mm Rem Mag
.308 Win
.30-06 Springfield
.300 Win Mag
.338 Win Mag
.45-70 Gov’t
ボンデッド
Partition
(150~300gr)
カリブー6.5 Creedmoor
7mm Rem Mag
.270 Win
.308 Win
.30-06 Springfield
ソフトポイント
ボンデッド
(115~180gr)
エルク7mm Rem Mag
.300 Win Mag
.30-06 Springfield
.338 Win Mag
ボンデッド
Partition
TTSX(165~250gr)
ムース.300 Win Mag
.338 Win Mag
.375 Ruger
.45-70 Gov’t
Partition
ボンデッド
TTSX(180~405gr)
ビッグホーン
ダルシープ
6.5 Creedmoor
.270 Win
7mm-08
.308 Win
ボンデッド
Partition(130~180gr)
グリズリー
ヒグマ
.30-06 Springfield(最低)
.300 Win Mag
.338 Win Mag
.375 H&H Mag
.416 Rem Mag
パーティション
モノリシック(200~400gr)
ヒョウ7mmクラス(7×57等)
.30-06 Springfield
(精密射撃時)
ソフトポイント
コントロールドエクスパンション(120~180gr)
ライオン.375 H&H Mag(最低)
.416 Rigby / .458系
高信頼拡張弾
重量弾(250~400gr)
場合によりソリッド
ナイルワニ.338クラス〜.375 H&H
.458 Win Mag(大型個体)
ソリッド
モノリシック(250~500gr)
ケープバッファロー.375 H&H Mag(最低)
.416 Rem Mag / .458系
高貫通ソリッド
(300~500gr)
または頑丈な拡張弾
サイ
(ホワイト / ブラック)
.375 H&H(最低)
.416 / .458 / .500クラス
ソリッド
モノリシック(400~600gr以上)
ゾウ
(アフリカ象)
.375 H&H(最低)
.416 / .458 / .470 / .500 Nitro Express / .600系
高貫通ソリッド(400gr以上、状況により700~900grも使用)
  • 注意点
    • 急所(心肺部)への命中が最も人道的。前脚付け根後方を狙う。
    • 鹿サイズ:900〜1,200ft-lbf必要
    • エルク:1,500〜2,000ft-lbf必要
    • グリズリー:2,000ft-lbf以上必要
    • 弾の構造(パーティション、ボンデッド、モノリシック)は威力より重要。
    • 鉛禁止区域や最小口径規制を必ず確認。
    • 射程限界を超えた射撃は避ける。300ヤード以内が目安。

狙点位置:まとめ表

以下はどこを狙って撃つと効果的かをまとめた表です。

獲物の種類狙う位置距離
陸鳥飛行中は頭または頭の少し前30~50 yd
(約27~46 m)
水鳥頭またはその少し前
(銃口のスイングを維持)
30~70 yd
(約27~64 m)
シチメンチョウ静止時は首の付け根30~70 yd
(約27~64 m)
小型獲物頭または心肺部散弾:20~35 yd
(約18~32 m)
ライフル:50~200 yd
(約46~183 m)
害獣
(コヨーテ等)
前脚付け根の後ろ
(心肺部)
コヨーテ:200~500 yd
(約183~457 m)
キツネ:100~300 yd
(約91~274 m)
シカ
プロングホーン
前脚の後ろ、胸の下から3分の1上200~500 yd
(約183~457 m)
イノシシ胸の前方・低めの位置100~300 yd
(約91~274 m)
エルク
ムース
前脚付け根の後ろ、胸の下から3分の1上エルク:300~600 yd
(約274~549 m)
ムース:150~400 yd
(約137~366 m)
山岳系の獲物前脚付け根の後ろ、心肺部150~300 yd
(約137~274 m)
クマ前脚付け根の後方約10cm
(心肺部)
100~300 yd
(約91~274 m)
ライオン
ヒョウ
前脚付け根または胸(急所)30~150 yd
(約27~137 m)
ワニ胸部または脳
(角度による)
10~100 yd
(約9~91 m)
バッファロー
サイ
心臓または前脚付け根
(深い貫通を狙う)
バッファロー:25~150 yd
(約23~137 m)
サイ:20~100 yd
(約18~91 m)
ゾウ脳または心臓
(角度による)
10~100 yd
(約9~91 m)
  • ゲージ:ショットガンの口径を表す単位で、数字が小さいほど口径が大きい。
  • 散弾:複数の小さな弾丸がセットになった弾薬で、広範囲を攻撃可能。
  • 有効射程:弾薬や銃で実際に正確かつ致命的に命中可能な距離。
  • TSS(Tungsten Super Shot / タングステン・スーパー・ショット):高密度のタングステン合金製散弾で、従来の鉛弾より貫通力が高い。
  • スチール弾:鉄を素材とした散弾。低コストだが遠距離で威力が劣る。
  • ビスマス弾:鉛に近い密度を持つ散弾で、ストッピングパワーが高い。
  • リムファイア:弾薬の雷管が弾の縁にある点火方式。主に小口径弾で使用。
  • ホローポイント弾(HP):着弾時に拡張しやすく、ストッピングパワーが高い弾頭。
  • ラウンドノーズ弾(RN):丸い弾頭で貫通力が高く、肉の損傷を抑えやすい。
  • バーミント弾:小型害獣駆除用の小口径・高速・急速拡張型ライフル弾。
  • バーミント(Varmint):農作物や生態系に被害を与える小型害獣。
  • 弾道係数(BC / Ballistic Coefficient):弾丸が空気抵抗を受けにくさを示す値。
  • ソフトポイント弾(SP):弾頭先端が露出した鉛で、貫通力と拡張性を両立。
  • ボンデッド弾:弾頭のジャケットとコアが接着された構造で、深い貫通力を保持。
  • AccuBond(アキュボンド):ノスラー社製の弾頭で、ジャケットと鉛コアを接合し、安定した拡張と深貫通力を実現。
  • Nosler Partition(ノスラー・パーティション):弾頭内部に金属仕切りを持つ二重構造弾頭で、拡張性と貫通力を両立。
  • コントロールドエクスパンション弾:着弾時に制御された拡張を行い、貫通力と損傷力のバランスを保つ弾頭。
  • TTSX:タングステンコアを使用した大型狩猟用の弾頭で、高貫通力とストッピングパワーを持つ。
  • ハードキャスト(Hardcast)弾:硬化鉛製の弾頭で、変形しにくく貫通力に優れる。
  • プレミアムソフトポイント:高精度かつ制御拡張型のソフトポイント弾頭で、肉損傷を抑えつつ致命性を確保。
  • 初速(Muzzle Velocity):銃口を離れる瞬間の弾丸速度。
  • ストッピングパワー:目標を迅速に無力化する能力。
  • 被甲(Jacket):弾頭の外装部分で、貫通力や形状保持を助ける。
  • 弾芯(Core):弾頭内部の主素材。主に鉛やタングステンで構成。
  • ラウンド(Round):単発の弾薬単位。
  • 命中精度(Precision / Accuracy):弾が狙った点に近い位置に当たる能力。
  • Outdoor Life「Best Hunting Cartridges」
  • American Hunter「Top Cartridges for North American Game」
  • Mossy Oak「Predator & Waterfowl Ammo Guide」
  • Ron Spomer Outdoors「Hunting Caliber & Bullet Selection」
  • Norma Ammunition Academy「Deer & Boar Hunting Ammo Guide」
  • Sitka Gear「Shot Placement for Ethical Hunting」
  • Chuck Hawks「Cartridge & Bullet Performance」
  • Alaska Department of Fish and Game「Bear & Moose Hunting Guidance」
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  • Vortex Optics「Understanding Bullet Types」
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