SIGの歴史は1853年にスイスの3人の事業者により鉄道車両(客車)を製造するスイスワゴンワークス社が創業されたことから始まります。
水力発電を得るためにライン滝の上に工場を建設しましたが、レールが敷設されていなかったため馬車で車両を運搬する方法が長年続けられることになります。
そして1855年、パリ万博に車両を出品したところ高い評価を受け、会社が大きく成長する切っ掛けとなります。
1859年にガンスミスのプレラズとブルナン大佐の二人によりプレラズブルナン1859ライフルが開発され、スイス軍のトライアルを経て採用が決定されると、スイスワゴンワークス社が製造を担当することとなり、社名をSIG(スイス工業会社)へと変更しました。
1906年、鉄道車両製造事業や銃器製造事業が不況の影響を受けたためSIGはチョコレートやキャンディーなどを自動パックする商品パッケージの機械を製造し、これは2000年以降のSIGの事業で再び主軸となります。
アメリカのジョンMブローニングがフランス軍向けにピストル「ブローニングハイパワー」を開発したもののフランス軍に採用されることがなく、代わりにブローニングハイパワーの影響を受けたスイスのM1935Aピストルが採用されることになります。
そこでSIGはM1935Aピストルを参考にSIG P210を開発し、1949年にスイス軍制式採用となります。
また、1955年にMG42をベースとしたSIG MG 710-3マシンガン、1957年にバトルライフルであるSIG SG 510(stgw57)が開発され、これらは軍に採用されています。
1975年にはドイツのJPザウアー&ゾーン社と協力しP220が開発され、1976年に同社を買収しドイツにシグザウアー/シグザウエル(SIG Sauer GmbH)社が創設されます。
その後SIGは90年代にかけてスイスのヘンメリ社やドイツのブレイザー社を買収し、1985年アメリカにシグアームズ社を創業しますが、2007年にシグザウアー社(SIG Sauer Inc)へと社名を変更しています。
そして1995年に鉄道車両製造事業を売却、2000年に銃器製造事業から撤退し、スイスのスイスアームズ(SAN Swiss Arms AG)社、ドイツのシグザウアー(SIG Sauer GmbH)社、アメリカのシグアームズ(SIGARMS Inc)社はドイツの投資会社であるL&Oホールディングに売却されました。
(ドイツのシグザウアー社は2020年に工場閉鎖)
以降SIG社は食品パッケージや飲料パック(紙製無菌包装容器)を専門とするシグコンビブロックグループ (SIG Combibloc Group)をメインに事業を継続し現在に至ります。
SIGの歴史は失敗と成功の歴史ですが、鉄道車両製造、自動化機械設備、軍や法執行機関への採用、数々の企業買収などが会社を大きくする成功へと繋がっています。
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