ライフリングの数と回転方向の違いは弾道に影響を与えません。
私も時々「この情報は必要だろうか?」と疑問に思うことがあります。
ライフリングの本数が異なることで命中精度に影響は与えませんし、回転方向も理論的な理由があるわけではなく、「伝統」によって右回転か左回転かをメーカーが選択しているのが実状です。
むしろ、ライフリングの「ツイストレート(弾がどれぐらいの距離を進むと一回転するか)」、「谷(溝)の深さ」、「山の形状」の方が重要な情報で、これらは命中精度やクリーニングの容易さに影響します。
本来、弾を回転させるには2本のライフリングでも可能で、スプリングフィールドM1903やエンフィールドNo.4MK1のように、ライフリングが2本しかないライフルも存在し、これらは製造工程を減らし生産速度を早めるために選択された結果です。
マスケットライフルでも2~3本のライフリングが利用されたものがありますが、これも同様の理由です。
しかし、ライフリングが2本だけでは十分にライフリングが弾頭に食い込まない場合もあり、現在では4、6、8本が一般的に広く利用されています。
また「5R」と呼ばれるライフリングは5本のライフリングで山の形状(斜面)を浅くすることで弾頭の変形を抑え、空気抵抗に影響を与えにくいとして知られていますが、実際の評価は一般的な6本のエンフィールド型と比較して命中精度に殆ど差が無いと言われています。
その他、「マイクログルーヴ」と呼ばれる溝が浅い多数のライフリングが備わった銃身も存在しますが、これらはキャストブレット(ジャケットを使用しない鉛が露出した弾頭)が使用される.22LR用などに利用されており、製造工程の簡略化と溶けた鉛が溝に蓄積するレッディングを抑える目的で利用されています。