ご指摘の通り、2019年3月にアフガニスタンにおいてPKマシンガンの7.62x54Rが20フィート(6m)の距離でECH(エンハンスド・コンバット・ヘルメット)に命中したものの無事生還するという事件がありました。
ECHはAK47に使用される7.62x39mmをストップすることを前提に開発されたヘルメットですが、ハイパワーな7.62x54Rを防いだのは素直に驚きでした。
撃たれた兵士は全く無事ではなくCT検査で脳内出血が確認されましたが、幸い手術の必要がない怪我で済んでいます。
ECHより以前から使用されていたACH(アドバンスド・コンバット・ヘルメット)はケブラーヘルメットですが、ECHは軽量な超高分子量ポリエチレンを使用することで重さを1.6kg程度に抑えながら厚みを増やし、防弾性能がACHより35%向上しています。
7.62x39mmはACHを両面貫通しますが、ECHはそれをストップする能力があります。
しかし過去にはACHで7.62x39mmをストップした事例がいくつか存在することも事実です。通常至近距離で正面から着弾すれば貫通するものの、距離が遠いことで弾速が低下したり、着弾時の角度が浅いといった条件下で貫通しないことがあり、貫通しても弾がヘルメットの内側を滑って頭部に損傷を与えない場合もあります。こうした事例は第二次世界大戦時の鉄ヘルメットでも起きています。
しかしECHがどんなライフル弾もストップするということはなく、限界があります。
AKやPKで使用される弾薬より強力な弾薬を使用すれば、貫通する確率が高くなります。