このテーマを掘り下げると長文になるので掲示板では解説不能なのですが、要点だけ解説したいと思います。
「威力」の定義によりますが、仮に運動エネルギーの大きさを威力の大きさと表現すると、威力と貫通力は比例しません。
平均的に.45ACPの方が9mmよりマズルエナジーが大きい傾向がありますが、常に大きいわけではありません。
弾薬は弾頭重量、装薬量、装薬の燃焼速度などのバランスの違いによって異なる性能を持つため、比較対象次第で9mmの方がハイパワーな場合もあれば、.45ACPの方がハイパワーな場合もあります。
またSAAMIの規格でプレッシャーリミットを比較すると、9mm+Pは38,500psiになりますが、.45ACP+Pは23,000psiとなり、9mmの方が高圧に耐える設計になっています。
本題の貫通力についてですが、口径が大きくなるほど抵抗が大きくなるため貫通力が低下しやすくなります。
直径が大きな弾頭は空気抵抗や物体貫通時の抵抗をより大きく受けるため、深く貫通するためには大きな力(弾速や弾頭重量)が必要になります。
しかし.45ACPは9mmの貫通力を上回るために必要な弾速や弾頭重量がないため、抵抗に負けて貫通力が相対的に低くなっています。
例を挙げると、9mmより口径が大きい12.7x99mmは9mmより強い貫通力がありますが、これは十分な弾速と弾頭重量があるためです。
また、弾速が速ければ貫通力が強いというわけでもなく、着弾時に弾頭が潰れて直径が大きくなったり、弾頭が分裂すると、それだけ抵抗が大きくなったり、慣性エネルギーが小さくなることで貫通力が低下します。
高い貫通力を得るには、弾速、弾頭重量、変形しない硬い弾頭が必要になり、更に口径が小さい方が有利に働きます。