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ハイザー・ディフェンス社のPAR1(ARピストル)

heizer_defense_par1_pocker_ar_pistolPhoto via Guns and Ammo.com

ハイザー・ディフェンス社(Heizer-Defense)が2014年7月に発売を予定しているシングル・ショット・ピストル、「PAR1」です。使用弾薬はなんと.223 Rem (5.56x45mm)とのことで、このサイズでライフル弾である.223カートリッジを使用する既製の銃は史上初だと思います。

 

名前の由来

同社は.410ゲージショットシェルや.45 Coltを使用できるモデル「PS1」(ポケット・ショットガン1)をリリースしていることで有名ですが、今回AR-15などで使用される.223カートリッジを使用するため、「PAR1」(ポケット・AR1)と名づけたようです。本来、AR-15のARとは製造元である「アーマライト社」から由来しますが、アーマライト社がハイザー・ディフェンス社と関係しているという情報は見当たりません。(最近はARと名の付くモデルは多いですね。)

 

Heizer-Pocket-223-556-pistolPhoto via Guns and Ammo.com

 

予想される遅い初速と低いマズル・エナジー

通称「ARピストル」と呼ばれ話題となっていますが、やはりリコイルの強さを心配する声が多くみられます。そもそも.223 Remとは軍用ライフル弾として設計され、16~20インチのバレルで発射すると最適なパフォーマンスを得られる弾薬です。極端なショートバレルから発射すれば腔圧が足りず、弾頭が十分に加速されないことが予想されます。

Ballistics by the inch.comによるショートバレルから.223 Remを発射したテスト結果(PAR1を使用したテストではない)によると、18インチで3,000fps前後である初速は、3インチバレルでは1,200fps前後まで落ちています。.357マグナム弾が1,200fps程度出るので、本来の実力より遅いとはいえ、それでも多くのピストル弾より速い初速を維持しています。

下図は縦軸が初速、横軸がバレルの長さを表しています。

223reming45

Photo via Ballisticsbytheinch.com

下図は弾頭重量が異なる三種類の弾頭を使用したマズルエナジー量の結果。縦軸がエナジー量、横軸がバレルの長さです。

223MEPhoto via Ballisticsbytheinch.com

 3インチバレルで発射した際、初速が平均的なピストル弾より速いとはいえ、弾頭重量が軽いためマズルエナジーはかなり低い数値となっています。200ft-lbfといえば、.38SPLや8mm南部カートリッジの平均的なエナジー量です。この初速では恐らくフラグメンテーションは起こらないでしょうが、小口径なので弾頭が潰れたりタンブリングしなければ人体に対する貫通力があるかもしれません。初速が1,100fps前後、エナジーが100ft-lbf前後の.22LRでも人体を貫通する事例が意外と多いので、セルフディフェンス目的で使用する場合は、ホローポイント弾を使用して二次被害を防止するのが賢明かもしれません。

※上のデータはPAR1を使用したものではないので実際とは異なります。

 

マニュアル・セイフティもエキストラクターも無い?

heizer_defense_par1_pocker_ar_pistol_3Photo via Guns and Ammo.com

私の見落としでなければ、PAR1にはマニュアル・セイフティやエキストラクターが見当たりません。PS1にはエキストラクターがありましたが、PAR1では素手でリロードするしかなさそうです。 また、PS1と同様にグリップ内に収納スペースが確保されています。.223Remを入れるのは難しそうに見えますが、いずれ詳細は明らかになるでしょう。

アンビのバレル・ラッチが装備されており、右利き左利き両方のユーザーに対応しています。また、チャンバーにロードされた状態であるかは左右の穴から確認できます。トリガーはスライド式でダブル・アクション。ローラー・ベアリングが装備されており、トリガー・プルはスムースとのこと。材質はオール・ステンレスですが、PS1ではチタン・フレーム・モデルも用意されているので、PAR1でもバリエーション展開されるかもしれません。

発射ガスを無駄使いする「ファイヤーボール発生器」となりそうですが、ネタとして話題性のある面白い銃だと思います。しかし、Guns and Ammo誌によると、予想価格が449ドルになるということで、シングルショット・ピストルとしては高価すぎます。コンシールドキャリーをシリアスに考えるユーザーは、他のポケットオートやリボルバーを選択するでしょう。バレルを延長してハンティング用途向けにしても良さそうですが、そうすると軽量でグリップが小さいため手を傷める銃になりそうですし、やはりライフル弾をポケット・ピストルに使用するのは合理的ではないかもしれません。

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