どういった傾向の銃に特性があるかということですが、そもそも傾向が存在するのか議論の余地があると思われます。
主にオートマチックの銃において、弾頭重量や装薬の種類など条件が異なる弾薬で射撃した結果、作動に問題が生じた場合に銃と弾薬の相性が分かりますが、その原因はそれぞれ銃と弾薬によって異なります。
反動やガス圧を利用する銃では作動に一定の力を必要としますが、弾頭重量や装薬が異なる弾薬を使用すると、発生する反動の強さやガス圧に差が生じます。設計上必要な力を得られなければ装填不良や排莢不良となりやすいため、その銃に適した弾薬の選択が重要になります。
銃の作動に必要な力の範囲はそれぞれ条件によって異なり、スライドやボルトの重量、リコイルスプリングやメインスプリングの強さ、ロック機構の質量やデザイン、マガジン位置や角度、銃身軸の高さ、ヘッドスペース、薬室のサイズ、フィードランプの角度、エキストラクターのデザイン・・・等々、様々な要素が関係しています。
また異なる全長や弾頭形状の弾薬を想定した設計がされているかという問題もあります。
現代のピストルやサブマシンガンではホローポイント弾の使用を前提とした設計がされますが、1970~1980年代より以前はフルメタルジャケット弾のみの使用を想定して設計されていたため、ホローポイント弾との相性が悪い場合があります。
そのため、例を挙げるとワルサーP38やストレートマガジンのMP5ではホローポイント弾使用時にジャムが起こりやすいといった問題が起き、こうした場合も弾薬を選ぶことになります。
その他、薬室のサイズの違いによっても許容できる弾薬に差があります。
薬室のクリアランスを大きめにとっていると、弾頭形状やサイズにムラがある弾薬でも装填がスムーズになり、排莢もしやすい状態になりますが、命中精度に影響を及ぼしたり、発射時に膨張しにくいスチールケースはガス漏れを起こしたり排莢不良を起こしやすいなどの問題が生じる場合もあります。
また弾薬を選ばなければ危険なケースもあります。
リボルバーは手動で作動するため作動に必要な反動や圧力を考慮する必要がありませんが、例を挙げるとチタン製シリンダーに軽量な弾頭重量のマグナム弾(120グレイン未満)を使用するとシリンダーの先端がガス圧による装薬の粒によって削られるといった問題があり、リボルバーにおいても弾薬を選ぶ場合があります。
弾薬を選ぶ原因は銃や弾薬そのものによって異なり、原因が一つの場合もあれば、複合的に原因が重なっている場合もあり、一概に言えない背景があります。