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ショートリコイルとは何ですか? リコイルとは?

銃の画像

ショートリコイルとは何でしょうか?

今回はショートリコイルロングリコイルについて解説します。

リコイルとは?

1911ピストルの構造

リコイル(Recoil)とは、「反動」や「後退」を意味します。

銃を発射すると、弾頭が前進する力と、銃が後退する力が発生します。

弾頭の進行方向とは反対の方向に発生する力をリコイルと呼びます。

ショートリコイルとは?

1911ピストルの構造

銃身(バレル)とブリーチブロックが同時に短い距離を後退する機構をショートリコイルと呼びます。

「ブリーチブロック」とは薬室を閉鎖するパーツで、多くのオートピストルではスライドに該当します。

以下、ショートリコイルを採用するVP9ピストルを例に構造を解説します。

発射

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トリガーを引くと発射されます。

このとき装薬の燃焼によるガス圧によって「弾頭を前方に押す力」と「薬莢を後方へ押す力」が発生しています。(作用反作用の法則)

銃身とスライドが同時に後退

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薬莢の底がスライドを後方へ押しますが、銃身とスライドはロックされているため、薬室閉鎖状態のまま銃身とスライドが同時に短い距離を後退します。

スライドだけが後退し排莢

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銃身が完全に後退するとロックが解除され、スライドだけが慣性で後退を続けて薬室を開放し排莢します。

9x19mmなど高圧なピストル弾を利用する場合、発射と同時に薬室を開放すると高圧ガスが噴出し危険な状態となり、排莢不良の原因にもなります。

しかし、ショートリコイルを利用すると薬室を開放するまで時間を要するため、その間に銃身内の圧力が低下し、安全かつスムーズに排莢することが可能になります。

ショートリコイル方式はコルト M1911(ピストル)や、ベレッタ92FS(ピストル)、ブローニングM2(ヘビーマシンガン)などで利用されています。

ロングリコイルとは?

銃身とブリーチブロックが同時に長い距離を後退する機構をロングリコイルと呼びます。

以下、ロングリコイルを採用するフロマーストップ・ピストルを例に構造を解説します。

フロマーストップではボルトがブリーチブロックに該当するパーツです。

発射

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発射準備完了状態です。

銃身とボルトが同時に後退

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発射により薬莢がボルトを後方へ押しますが、薬室は閉鎖状態を維持します。

ショートリコイルと同様に銃身とボルトが同時に後退しますが、ショートリコイルより長い距離を後退します。

銃身だけが前進

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ボルトと銃身が最後まで後退すると、次に銃身のみが前進し薬室が開放されます。

このとき銃身が前進する力を利用して薬莢を突き、排莢します。

最後にボルトが前進

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銃身の前進が完了すると続けてボルトが前進。

マガジン内の次弾を薬室内へ送り込んで薬室を閉鎖し、発射準備完了となります。

ロングリコイル方式はブローニングA5(ショットガン)、フランキ 48AL(ショットガン)、IWS 2000(ライフル)などで採用されています。

ショートリコイルとロングリコイルの利点と欠点

ロングリコイルは19世紀に発明された古い機構で、主にショットガンやマシンガンなどで利用されました。

ロングリコイルの利点は「安全性」にあり、薬室開放に至るまでの時間が非常に長いためエジェクションポート(排莢口)から高圧ガスを噴出することもなく、スムーズな作動が可能です。

しかし、銃身とブリーチブロックを前進させるために2つのスプリングを必要とするなど構造が複雑で、作動のサイクルが遅いという欠点もあります。

また、銃身がフルストロークで後退するため知覚する反動が大きいのも欠点といえます。

現代の銃器においてはロングリコイルは廃れた古い設計となり、殆ど利用されていません。

一方、ショートリコイルはシンプルな構造でありながら作動が確実で、セミオートピストルを中心に利用されています。

古くから.380ACPといった低圧の弾薬ではショートリコイルを必要とせず、ストレートブローバック方式を利用していましたが、近年では.380ACPでもショートリコイルが利用されるようになりました。

ショートリコイルを利用することにより、「スライドを引くのに強い力を必要としない」「反動が軽減される」「スライド重量が軽量化される」といった利点を得られます。

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