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長距離射撃の基礎知識

スコープのゼロインについて

1000mを超えるような長距離の場合、どのようにゼロインするのでしょうか?

 

分かりやすく解説するために、長距離射撃の基礎から解説したいと思います。

 

 

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ゼロインの基礎知識

ゼロインとは銃の照準と着弾点を一致させることで、長距離射撃においても重要な作業といえます。

ゼロインについては以前に記事「ライフル射撃の基礎知識 ゼロインとMOAとMil」で簡単な概略を解説しましたが、今回はもう少し実践的な内容に踏み込んでみたいと思います。

 

まず最初に、ライフルにスコープを取り付けたら、射撃場では次の手順でゼロインを行います。

 

Photo via outdoorlife.com

 

手順1:スコープをリセットする。

スコープを覗くと見える十字線(レティクル)は、スコープの中心に位置する必要があります。そのため、スコープのエレベーションノブとウィンデージノブを回して、端から端まで何回転(何クリック)あるのかを確認します。

例えば、ノブを左へ限界まで回し、次に右に回してトータルで何回転するか数えます。もし左から右まで8回転で停止したら、今度は左に4回転させるとレティクルが中心に移動しリセットされます。

 

手順2:銃を固定する。

サンドバッグやライフルレストなど、何を使用しても構いませんが、銃が自立して銃口がターゲットに向いている状態を作ります。バイポッド付きでストックにモノポッドが装備されていれば、それでも構いません。

バイポッドだけでも不可能ではありませんが、ライフルが前後で固定されていると作業が楽になります。

 

手順3:ボアサイティング

ボルトアクションライフルの場合、ボルトを引き抜くと銃の後ろから銃身内(ボア)を通してターゲットを覗くことができます。銃身内から見えるターゲットとスコープから見えるターゲットを交互に覗き比べて、銃身とスコープがターゲットの中心方向に向いていることを確認します。もしズレていたら、エレベーションノブとウィンデージノブを回して大まかなアタリを付けます。

ボルトを引き抜けないセミオートのライフルでは難しい作業ではありますが、代わりにボアサイター等の器具を使用するのも良いでしょう。

 

手順4:25ヤード(または25メートル)先のターゲットを撃つ。

お勧めは100ヤードゼロインですが、その前に25ヤードといった近い距離で実際の着弾がどこにあるのか確認します。

とりあえず一発撃ってみて、狙点の位置より下方に着弾すればOKです。

 

手順5:100ヤード先のターゲットで修正する。

ゼロインは照準と着弾地点を一致させる必要があるため、できるだけ風や湿度等の影響を受けたくありません。そのため、100ヤードといった近い距離でゼロインするのがお勧めです。

ライフル射撃では、ウィンデージよりエレベーションが重要です。長距離射撃では主にエレベーションノブで修正し、ウィンデージノブは殆ど使用されません。ウィンデージは100ヤードのゼロインで良好な集弾が得られれば長距離射撃でも問題ありませんし、風の対処もウィンデージよりレティクルの目盛りで修正する方が有効です。

※風の対処についてはページの最後で解説します。

ゼロインでは、必ず3~5発ごとに平均をとってから修正します。1発ごとに修正すると正確性に欠けるうえ、時間と弾を無駄に消費しやすくなります。

 

手順6:ノブの「0」を手前にして取り付ける。

最後にエベレーションノブを取り外し、「0」が手前に表示されるようにして取り付けます。

ノブの外し方は六角レンチを使用したり、コインで回したりと、スコープの種類によって異なります。

 

以上で銃とスコープはセットされました。

次は修正方法を確認します。

 

 

MOAの基礎知識

MOAが分からない方は記事「ライフル射撃の基礎知識 ゼロインとMOAとMil」をご覧ください。

 

Photo via accurateshooter.com

 

ゼロインにはどんなターゲットでも使用可能ですが、上の様なゼロターゲット(ゼロイン専用ターゲット)を使用すると修正が楽になります。

ゼロターゲットは無数の種類が存在しデザインも様々ですが、どれも方眼紙のような升目があります。

上の画像のゼロターゲットは、太線の升目の一辺が1インチとなっており、距離100ヤード地点にターゲットを設置すると一辺が1MOAに当たります。

 

ライフルのスコープにはMOAベースやMILベースのスコープが存在し、MOAベースのスコープでは1クリック(1目盛り)= 1/4MOA(0.25MOA)のものがポピュラーです。

勿論、1クリック=1/2MOA1/8MOAも存在しますし、MILベースでは1クリック=0.1MRAD(ミリラジアン)と表記されているものもあります。

 

25ヤード1 MOA約 0.25 インチ(0.262インチ)
25メートル1 MIL2.5 cm
100ヤード1 MOA約 1 インチ(1.047インチ)
100メートル1 MIL10 cm

 

1MOAは25ヤード地点で0.262インチ、100ヤードでは1.047インチの大きさです。

通常、25ヤード=0.25インチ、100ヤード=1インチと単純計算されるところを、長距離射撃では正確性が求められるため小数点以下も含めて計算されます。

MOAとMILが理解できないと長距離射撃を理解するのは不可能ですので、これは是非覚えておいていただきたいところです。

 

 

着弾の修正

 

100ヤード先のターゲットを撃つと、このように集弾しました。

この場合、ターゲットの中心に命中させるためにどのように修正すれば良いでしょうか?

100ヤードでは太線の一辺が1インチなので1MOAとなります。

集弾を確認して平均を取ると、中央の着弾が最も正確な着弾位置だと予測されるので、この着弾を修正します。

これを修正するには、着弾地点を左に0.5MOA(0.5インチ)、上へ1MOA(1インチ)移動させるとターゲットの中心に命中するはずです。

実際には、使用しているスコープが1クリック=1/4MOAの場合、4クリック=1MOAなので、ウィンデージノブを右に2クリック(0.5MOA)、エレベーションノブを左へ4クリック(1MOA)回して修正します。

 

 

弾道と着弾の関係

100ヤードゼロインで.338ラプアマグナムを撃つと、このような弾道曲線になります。

縦軸が高さ(インチ)、横軸が距離(ヤード)です。

銃口を出た弾は100ヤード地点まで上昇し、その後は下降します。

 

 

100ヤードでゼロインされた.338ラプアマグナムのライフルを撃った時、ターゲットを25ヤード地点と100ヤード地点に置くと、このような着弾になります。

100ヤードでは狙点と着弾地点が一致していますが、25ヤードでは狙点より0.7インチ下方へ着弾します。

25ヤードでゼロインする際は、これぐらい下方に着弾すると理想的です。

 

.338ラプアマグナムの弾道データ

100ヤードゼロ

弾頭重量 300 gr / 初速 2,800 fps
サイト高 1.5インチ / 弾道係数 0.768 (G7)

距離
(ヤード)
弾速
(fps)
エナジー
(ft-lbf)
弾道曲線
(インチ)
028005222.0-1.5
2527855166.0-0.7
5027705111.0-0.2
7527555057.00.1
10027415003.00.0
12527264949.0-0.3
15027114896.0-1.0
17526964843.0-1.9
20026824791.0-3.1
22526674739.0-4.7
25026534687.0-6.5
27526384636.0-8.6
30026244586.0-11.1
32526094536.0-13.9
35025954486.0-17.0
37525814436.0-20.4
40025664387.0-24.1
42525524339.0-28.2
45025384291.0-32.6
47525244243.0-37.3
50025104196.0-42.4
52524964149.0-47.9
55024824102.0-53.6
57524684056.0-59.8
60024544011.0-66.3
62524403965.0-73.1
65024263920.0-80.3
67524123876.0-87.9
70023983832.0-95.8
72523853788.0-104.2
75023713745.0-112.9
77523573702.0-122.0
80023443659.0-131.5
82523303617.0-141.4
85023173575.0-151.7
87523033534.0-162.4
90022903493.0-173.5
92522763452.0-185.0
95022633412.0-196.9
97522503372.0-209.3
100022373332.0-222.1

これで100ヤードゼロインでの弾道のイメージが確認できたと思います。

そこで今度は長距離射撃に移りたいと思いますが・・・、その前にやっておかなければならない作業があります。

 

 

長距離射撃の前に必要な校正(キャリブレーション)

 

スコープのエレベーションノブを回すとレティクルが上下に動きます。

しかし、スコープの視界を360度の円とすると、レティクルが0度の角度で垂直に上下するとは限りません。

スコープによってはエレベーションノブを回すにつれて少しずつ角度が1~4度ほどズレることがあります。

これは安価なスコープに限らず、ある程度高額なスコープでも生じる誤差です。

高級なスコープは0度、または1~2度以内に収まりますが、角度が5度を超えると長距離射撃には向いていないので、できるだけ高級なスコープを使用するのがお勧めです。

具体的には、銃の価格と同等か、2倍ほどのスコープで、日本円で20~50万円ぐらいといったところです。

価格と精度が比例するのがスコープの傾向です。

 

角度がズレると何が問題なのかといえば、角度が大きくなるとレティクルの縦の移動量が実際のクリック数より少なくなり、一方で横の移動量が大きくなることを意味します。

つまり、エレベーションノブを30MOA分回したのに、実際のレティクルは29MOA分しか移動しなかった・・・ということがあり得ます。

これは長距離射撃では無視できない誤差となるため、予めどの程度ズレるのかを知っておき、その誤差を含めた修正が必要となります。

では、その誤差を知るにはどうすれば良いでしょうか?

 

Photo via ja.scribd.com

 

これはCATSターゲット(キャリブレーション&トレーニングシステム)と呼ばれるターゲットです。「背が高いターゲット」という意味で、トールターゲットとも呼ばれます。

使い方は、まず距離100ヤード地点にトールターゲットを設置します。

設置の際には水平器を使用して計測し、正確に水平垂直になるように固定します。

そしてレーザーレンジファイダー(距離計)や巻き尺などを利用し、発射地点からターゲットまでの正確な距離を計測します。

設置を終えたら射撃しますが、ターゲットの一番下の四角い枠を狙って3~5発発射します。

続いてエレベーションノブを10MOA分回し、同様に四角い枠を狙って3~5発発射します。

これを10MOA、20MOA、30MOAと繰り返して撃つと、ターゲットを縦に3~5発ずつの集弾が等間隔に現れます。

この集弾の平均がターゲットの縦線上にあれば問題ありませんが、縦線から横にズレた位置に集弾した場合はレティクルに角度がついていると確認できます。

実際の計測は、巻き尺などを利用し、四角い枠からそれぞれの集弾の平均値までの高さを計測します。

 

そして、この計算には以下の公式を使用します。

セットしたMOA x ターゲットまでの距離 x 定数 = 予想される着弾差

予想される着弾差 ÷ 実際の着弾差 = 修正値(コレクションファクター)

定数は、ヤードとMOAを使用する場合は0.01047、メートルとMILを使用する場合は0.03936です。

 

ヤードMOA0.01047
メートルMOA0.01145
ヤードMIL0.03599
メートルMIL0.03936

 

【例】

ターゲットまでの距離が99ヤードのとき、エレベーションノブを30MOA回したとします。しかし、実際の射撃結果は狙点(四角い枠)から集弾平均値までの高さは29.5インチでした。

これを計算すると・・・

30MOA x 99ヤード x 0.01047 = 31.1インチ

31.1インチ ÷ 29.5インチ = 1.054

30MOA x 1.054 = 31.62MOA

よって修正値は1.054となり、実際の30MOAを得るには、スコープ側が31.62MOAである必要があるということになります。

 

 

1000ヤードの弾道

.338ラプアマグナムで1000ヤード先のターゲットを射撃すると、このような弾道になります。

スコープとターゲットの高さが水平のとき、弾道は525ヤード地点で頂点に到達し、その後落下しています。

 

 

1000ヤードでゼロインされた状態で25ヤードのターゲットを射撃すると、狙点と着弾点の位置関係はこのようになります。

1000ヤードを狙うために近距離でゼロインしようとした場合、ターゲットの下方を狙っても上方に着弾します。

比較的弾道がフラットな.338ラプアマグナムでもこれほど射角がありますから、7.62mmNATOなどでは25ヤードのターゲットを狙って撃ったとしても、ターゲットの上を飛び越えてしまいます。

しかし、長距離射撃の場合、100メートルで正確にゼロインされていれば長距離でも応用可能です。

使用する弾薬の弾道データが予め分かっていれば、それに沿ってエレベーションノブを回して修正すれば1000ヤードでも問題ありません。

 

.338ラプアマグナムの弾道データ

1,000ヤードゼロ

弾頭重量 300 gr / 初速 2,800 fps
サイト高 1.5インチ / 弾道係数 0.768 (G7)

距離
(ヤード)
弾速
(fps)
エナジー
(ft-lbf)
弾道曲線
(インチ)
028005222.0-1.5
2527855166.04.9
5027705111.011.0
7527555057.016.8
10027405003.022.3
12527264949.027.5
15027114896.032.4
17526964843.037.0
20026824790.041.3
22526674739.045.4
25026534687.049.1
27526384636.052.5
30026244585.055.6
32526094535.058.4
35025954485.060.8
37525814436.063.0
40025664387.064.8
42525524338.066.2
45025384290.067.4
47525244242.068.2
50025104195.068.7
52524964148.068.8
55024814102.068.6
57524674056.068.0
60024544010.067.1
62524403965.065.8
65024263920.064.1
67524123875.062.1
70023983831.059.7
72523843787.056.9
75023713744.053.7
77523573701.050.2
80023433658.046.2
82523303616.041.9
85023163574.037.2
87523033532.032.0
90022893491.026.5
92522763451.020.5
95022633410.014.1
97522493370.07.3
100022363331.00.1

 

余談ですが、長距離射撃ではターゲットに命中するまで超音速を維持する弾が重要です。

.338ラプアマグナムは1000ヤード地点でも音速を超えていますが、それは単に「弾道がフラットだから良い」という理由だけではなく、音速の壁を超えている状態から亜音速に減速する際、弾は不安定になる傾向があります。

つまりタンブリング(横転)を起こしやすくなるということですが、その点、.338ラプアマグナムは長距離射撃で非常に良好な弾速を出していることが弾道データから分かります。

 

 

着弾の修正(カムアップ)

弾道計算機※で弾道データを得るとき、Come Upという単語を目にすると思います。

これは修正に必要なMOAやMILの値を表しています。

100ヤードでゼロインされた以下の弾道データを確認すると、1000ヤード21.2MOAとなっていますが、これはスコープのエレベーションノブを21.2MOA分回す(アップする)と1000ヤードで命中可能という意味です。

使用するスコープが1クリック=1/4MOA(0.25MOA)のとき、21.2を4倍して84.8クリックが必要となります。

しかし、クリックでは小数点以下の調整が不可能です。

そのときは、より近い側に合わせると良いので、この場合は85クリックが適当です。

※弾道計算機はスマホのアプリで入手可能です。

 

.338ラプアマグナムの弾道データ

100ヤードゼロ

弾頭重量 300 gr / 初速 2,800 fps
サイト高 1.5インチ / 弾道係数 0.768 (G7)

距離
(ヤード)
弾道曲線
(インチ)
Come Up
(MOA)
Come Up
(MILS)
0-1.50.00.0
1000.00.00.0
200-3.11.50.4
300-11.13.51.0
400-24.15.81.7
500-42.48.12.4
600-66.310.53.1
700-95.813.13.8
800-131.515.74.6
900-173.518.45.4
1000-222.121.26.2

 

一つ注意しておきたい点は、使用するスコープのメカニカルゼロがどれだけあるのかという点です。

メカニカルゼロとは、エレベーションノブを回して到達するMOAやMILの限界値です。

1000ヤードを超える長距離射撃では、弾薬によっては非常に大きな放物線を描くため、スコープの機械的限界を超えることで1000ヤードでゼロインできないことがあります。

例えば、スコープの中心からレティクルの上昇に40MOAが必要なとき、30MOAが限界のスコープでは対応できません。

長距離射撃を行う前に、カタログスペック等で使用するスコープの限界を確認する必要があります。

 

 

スコープDOPE

ライフル射撃に興味があれば、DOPE(Data On Previous Engagement)という用語を耳にしたことがある方も多いかもしれません。

DOPEカードやDOPEブックが存在しますが、これは使用する弾薬の弾道データを書きまとめたカードや手帳のことを指します。

 

Photo via ar15.com

 

DOPEカードは、スコープカバーの裏やストック側面に張り付けられたり、ピカティニレイルに搭載できる専用のDOPEカードホルダーも存在します。

DOPEカードには距離、弾速、ドロップ量、ドラグ(風に流される量)、クリック数・・・等々が書き込まれますが、何を書き込むかは人によります。

自分が必要だと思うデータを記入しておけば、状況に応じて修正が可能になります。

 

余談ですが、とある米軍のスナイパーは、「DOPEに書き込むのはペンより鉛筆が良い」と言います。

その理由は、「鉛筆なら折れてもナイフで削れば何度でも使えるから」・・・ということですが、なんだか「NASAは宇宙ペンを開発したが、ロシア人は鉛筆を採用した」という話しに似ています。

 

 

風に対処する方法

アメリカの長距離射撃に関する専門書を読んでいると、その多くは風の対処方法について多くのページを割いているのが目につきます。

自然現象である風の対処は非常に複雑なため、奥が深いといえるでしょう。

米陸軍スナイパーチームでチームリーダーだったライアンクレックナー氏は、「風が無ければ誰でもスナイパーになれる」と述べています。

そんな奥の深い内容をまとめるのは不可能ですが、少し触れておきたいと思います。

 

スナイパーが風を知る方法は様ざまですが、旗のなびく様子は風速を予測し易いですし、空港にある吹き流しがあればベストです。しかし、自然界ではそう簡単に見つかりません。

風による草木の動きは、植物の種類によって「しなり方」が異なるため、あまり参考になりません。

ではプロのスナイパーはどうやって風を知るかといえば、便利なのは陽炎です。

陽炎は砂漠や雪山にも存在するため、長距離射撃時の参考になります。

陽炎が真っ直ぐ立ち上っていれば風速0に近く、45度に流れると風速6マイル(約2.7メートル)、流れが水平に近いと風速12マイル(約5.36メートル)以上といったように予測します。

また、発射された弾の周囲は圧縮された空気によって屈折し背景が歪むため、長距離射撃ではスコープ越しに弾道を目視することが可能です。この空中での弾の動きから風による影響の強さを推測することもできるため、次弾の参考になります。

 

下の表は風によって流される量(ドリフト)を表しています。

距離によって何インチ流されるのかが分かりやすいかと思います。

風により流される弾道計算が難しいのは、角度で求められないからともいえます。

弾は飛翔中に徐々に風の影響を受けるため、放物線を描きます。

つまり、弾道は重力によって縦方向に放物線を描き、それと同時に風によって横方向に放物線を描きます。

これは野球のピッチャーがカーブを投げている様子をイメージすると分かりやすいかもしれません。

 

.338ラプアマグナムの弾道データ

90度の横風:風速12mph (約5.36m)

弾頭重量 300 gr / 初速 2,800 fps
サイト高 1.5インチ / 弾道係数 0.768 (G7)

距離
(ヤード)
ドリフト
(インチ)
ドリフト
(MOA)
ドリフト
(MILS)
0000
1000.30.30.1
20010.50.1
3002.30.70.2
4004.110.3
5006.41.20.4
6009.31.50.4
70012.81.70.5
80016.920.6
90021.62.30.7
1000272.60.8

 

横風の計算は、仮に北方向に撃つ場合、東西に吹く風はこの表通りの値(ドリフト量)で計算します。

一方、北東、南東、南西、北西の方向に吹いている風は、表の値に0.75を掛けて3/4として計算します。

例えば、1000ヤードで27インチのドリフトでは、射線の45度方向に12マイルの風が吹けば1000ヤード地点で20.25インチのドリフトとなります。

南北に吹く風は追い風と向かい風なので、考慮する必要はありません。

 

横風に対する修正にはウィンデージノブは不要です。

基本的にウィンデージノブは最初のゼロインのときだけ必要といっても良いでしょう。

なぜなら風速と風向は刻々と変化するため、ウィンデージノブで修正していたら発射のタイミングを逃しやすくなります。

そのため、レティクルの横方向に目盛りがあるスコープ(ミルドットスコープなど)でレティクル上で修正するのが良いといえます。

 

 

スポッター

軍のスナイパーにはスポッター(観測手)が付きますが、民間でも長距離射撃ではスポッターによって高い精度の射撃が可能になります。

スポッターの役割はターゲットまでの距離を計測し、風の影響を予測したり、弾道計算によって導き出される修正量を射手に伝えます。そして射手は伝えられた通りに修正して射撃します。

軍においてはスポッターはチームの管理も行い、射手よりも射撃経験が豊富な者がスポッターを務めるのが一般的です。

射手は自ら勝手に修正することは許されません。その理由は、例えば着弾がターゲットを外れたとき、スポッターから伝えられた修正量を実行せずに自分で考えた修正量で射撃すると、スポッターは射手に伝えた修正量と異なる着弾結果が出たことにより、次弾では誤った情報を基に再修正することになります。

これではターゲット周辺の風が実際には風速5メートルだとしても、着弾結果が異なるとスポッターは風速10メートルと勘違いして次弾の修正を計算することになりかねません。

またスポッター側も射手の勝手な修正を防ぐために、「ターゲットから下へ1MOA外れた」と着弾の結果を射手へ伝えることはせず、あえて「上へ1MOA」と次弾で必要な修正量のみを射手に伝えます。

もし自分にスポッターが付いたときや、自分がスポッターを務めるときには、これを覚えておくと良い結果に繋がるかもしれません。

ただし、トレーニングのためであれば、スポッターから外した距離を知らせてもらうのは有効です。

 

 

射撃のコツ

最後に射撃のコツについて触れます。

射撃に必要な点は、大きくわけて次の三つです。

 

1:銃を静止させる。

ハンドガンでもライフルでも、命中率を向上させるには銃を静止させることが重要です。

ハンドガンでは銃を静止させたままトリガーを引くトレーニングをし、ライフルではトリガーを引く直前に息を吐いて呼吸を止め、銃を静止させることに努めます。

長距離射撃ではグリップを強く握る必要はなく、トリガーに軽く触れる程度のグリップで構いません。またプローンでボルトアクションを撃つ際には、親指をストックに回す必要はなく、トリガーを引く人差し指と親指が接触するぐらいでもOKです。

また、ライフル射撃では銃を垂直に立てて静止させることが重要です。

長距離射撃で銃を左側へ傾けて撃つと、左下に着弾します。逆に右に傾けて撃つと、右下に着弾します。

 

2:サイトフォーカス

ターゲットに集中してはいけません。

ハンドガンではフロントサイトに集中し、ライフルではスコープのレティクルに集中します。

レティクルがぼやけて見える場合は、スコープのパララックスアジャストメントダイヤルを調節してレティクルがクッキリと見えるようにします。

米軍のスナイパースクールでは、ターゲットを裏返して白紙に向かって射撃し集弾させるトレーニングも存在します。ターゲットの数字や形状に惑わされないようにしましょう。

 

3:トリガーコントロール

トリガーは一定の速度で引きます。

仮にトリガーの引き始めから引き終わりまでが1から10のとき、5の位置で撃発するとします。

このとき、指の動きは1から10まで一定の速度で引き切ります。

撃発した後もトリガーを引き続けるイメージでトレーニングすると良好な結果が得られます。