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.50 FAT MACとはどんな弾か?

銃の画像.50 FAT MACって、どんな弾ですか?

.50 FAT MACを撃つ銃はどんな銃ですか?

.50 FAT MACとはどんな弾か?

銃の画像.50 FAT MACは、20x102mmのケース(薬莢)と.50BMGの弾頭を組み合わせた競技用大口径高速ライフル弾です。

 

銃の画像

20x102mmと.50BMG Photo via wikipedia.org

画像は20x102mm(画像手前)と.50BMG(画像奥)を比較しています。

20x102mmは、M61バルカンで使用されており、自衛隊ではF-15J戦闘機の機銃やVADSなどで使用されています。

一方、.50BMG (12.7x99mm)は、ブローニングM2重機関銃や、バレットM107A1狙撃銃などで使用されています。

 

この両者を組み合わせて完成したのが・・・

 

銃の画像

Photo via imgur.com/3TNsfNP

この画像のライフル弾、.50 FAT MAC(12.7x67mm)です。

20x102mmのケースをネックダウンし、.50BMGの弾頭を使用できるように成形されています。

ショルダー角30度で非常に短いネック長が特徴的です。

これは330グレインの装薬量で750グレイン(約49グラム)の弾頭を3,400フィート/秒(1,036メートル/秒)まで加速する性能を持ちます。

750グレイン弾頭の.50BMGの弾速は、およそ2,800フィート/秒(約800メートル/秒)であり、.50FAT MACは短い全長でありながら.50BMGを超える弾速です。

 

銃の画像

Photo via ammoguide.com

マズルエナジーは19,261 ft-lbfと強力で、.50BMGと比較しても、いかにパワフルかが分かります。

 

プライマー(雷管)の変更

銃の画像

Photo via municion.org/50fm/50fm.htm

しかし、単にネックダウンするだけでは問題がありました。

20x102mmは電気で着火するエレクトリック・プライマー(電気着火雷管)が使用されており、これは高価で一般的に入手が難しいという問題があります。

そこで.50 FAT MACでは専用のステンレス製コンバーターをプライマーポケットの位置にねじ込み、通常の.50BMG用プライマーが使用できるよう改良されています。

アメリカでは、一般的なプライマーは日本円で一個数円から数十円程度(.50BMG用は約50円弱)ですが、20~30mm弾のエレクトリック・プライマーは一個200円以上のコストが掛かり、使用する銃にも専用のアクション(機関部)を用意する必要があります。

 

開発者:ゲイル・マクミラン

銃の画像

M40A1 Photo via texasbrigadearmory.com

.50 FAT MACは、1996年にシューターでありマクミラン社の創設者であるゲイル・マクミラン(1906年-2000年)によって開発されました。

ゲイル・マクミランは1973年にマクミラン・グラスファイバー・ストックを発表し、1975年から米海兵隊の依頼によりM40A1狙撃銃の開発に寄与した人物です。

M40A1はベトナム戦争の経験を活かした設計思想を基に、レミントンM700のアクションとマクミランHTCストックを組み合わせた高性能狙撃銃であり、米海兵隊は2015年までA1~A5にマクミラン製ストックを採用しています。(A6からは米海兵隊の要求により、延長レイルを使用可能な搭載アクセサリーの汎用性を考慮したストックが採用されています)

また2002年にはカナダ軍がアフガニスタンにおいて、マクミラン製TAC-50ライフルで2430メートルの狙撃に成功し 、世界記録(当時)を樹立しました。

このようにマクミランは、高性能狙撃銃の分野でトップレベルの技術と実績を持つ企業のひとつと言われています。

 

.50 FAT MAC 開発の背景

アメリカのベンチレスト・シューティング界では、様々な弾薬が誕生しています。

ベンチレスト・シューティングとは射撃競技の一種です。ライフルの前後を二点で固定し、文字通りベンチに座って射撃を行い、集弾性能や命中精度を競うスポーツです。

ルールによってレギュレーションが異なり、内容によって銃や弾薬を細かく選択する必要があります。

その中で、1,000ヤードを超える遠距離射撃用の.50BMG弾頭を使用した様々な弾薬も開発されており、よりフラットな弾道を得られる高速弾が求められました。

そして、シューター達は様々な弾薬を試行錯誤するうちに「ケース長が短い方が精度が良い」と気が付き始めたのです。

.50 FAT MACのコンバーターを見ても分かる通り、プライマーの燃焼が前方に届くように延長されており、燃焼効率が考慮された設計となっています。

このような背景から、競技ルールの範囲内で、全長を短くしつつ装薬量を増量した太いケースの.50 FAT MACの開発に至りました。

 

しかし、太く短いケースから放出される高温高圧のガスの影響から、激しいエロージョン(焼損/熱腐食)を起こし、銃身命数が短いというデメリットも指摘されています。

また、不幸にも.50口径はアメリカの一部の州や地域で規制対象となっており、この分野のベンチレスト・シューティングは縮小傾向にあります。

競技として成立させるには誰もが参加できるのが理想であり、複合的要因から.50 FAT MACは滅多に見られない非常にレアな存在となりました。

 

.50 FAT MACを使用する銃とは?

ベンチレスト・シューティングで使用される銃は、ルールによって異なります。

銃の画像

Photo via bulletin.accurateshooter.com

例えば、この画像のライフルは「レイル・ガン」と呼ばれる分野のベンチレスト・シューティング用ライフルです。

ベンチにボルトで固定し、銃身は水冷式、ストックは無し・・・という設定がされています。

この様に一見するとライフルには見えない銃も使用されており、ルールの内容によって銃の形状は様々です。

「.50 FAT MACが使用される銃は?」と問われても、市販されている銃で.50 FAT MACが使用されている例は皆無であり、すべてカスタムメイドの特注品なため、具体的に「この銃です」とは答えられません。

またネット上では.50 FAT MACが使用されているとされる銃の画像も見られますが、私はそれが実際に.50 FAT MACを使用しているという確証が持てないので、残念ながら紹介できません。

もし確証の持てるソースが見つかれば、その際にはこのページで加筆したいと思います。