ニュースサイト、Wide Open Spacesが今年の10大ニュースを発表していたので、ご紹介したいと思います。元記事の記者がオハイオ州の住人だからか、若干内容がオハイオ州に偏っているようにみえますが、私の記憶にもあるニュースなので、話題になったニュースであることは間違いないと思います。
第10位 レミントンが大規模リコール
Photo via gearscout.militarytimes.com
レミントン社はボルトアクション・ライフルのトリガーシステムに問題があるとして、大規模なリコールを発表しました。これまで製造した全てのレミントンM700とモデルセブンが対象です。訴訟の結果の末にリコール受け入れで和解した形となったのですが、経年劣化などが原因で暴発の危険があるようです。私もM700を所有していましたが、トリガーに問題があるような印象は受けなかったので意外なニュースでした。
第9位 キャッスル・ドクトリン通用せず
ある事件がキッカケでキャッスル・ドクトリンが注目されました。
キャッスル・ドクトリンについては以前投稿しましたが、家を城に例えるならば「家主はキング」なので、強盗が侵入しても家主は逃げずに銃を使用し反撃しても罪に問われないという法律上の考え方です。
事件の概要は以下の通り。
米モンタナ(Montana)州ミズーラ(Missoula)で、自宅の車庫に押し入ろうとしていると疑い、17歳のドイツ人交換留学生を射殺した男が27日、逮捕された。
逮捕されたのはマーカス・カーマ(Markus Kaarma)容疑者(29)で、同容疑者の自宅車庫から頭部を撃たれた遺体が発見された。
初動捜査報告によると、カーマ容疑者は、警報が鳴った後、自宅車庫で「侵入者」と鉢合わせしたため銃で撃ったという。
カーマ容疑者に撃たれて死亡したのは独ハンブルク(Hamburg)からミズーラの高校に留学していたディレン・ディード(Diren Dede)さんで、同校のサッカー選手だった。
カーマ容疑者は28日、殺人の容疑が掛けられている。有罪になれば禁錮10~100年の刑が科せられる可能性がある。
カーマ容疑者側の弁護人によると、同容疑者は、この3週間で2度も自宅に強盗に侵入されており、監視カメラと動作感知器を設置したばかりだった。このためカーマ容疑者の念頭には、また強盗に入られたとの考えしかなかったと弁護人は主張。同容疑者に殺意はなく、偶発的な悲劇だったと訴えた。事件の予備審問は5月12日に行われる。
https://www.afpbb.com/articles/-/3013809
この事件では外から見えるように財布をガレージに置き、わざとおびき寄せたことが指摘されています。ショットガンが使用され、発射した4発中2発が頭部と腕に命中。侵入者であろうと、罠を仕掛けておびき寄せて射殺するのは殺人ではないか?と話題になりました。アメリカでは財布を拾った瞬間に「この人泥棒です」と訴えられる事件も起きているので注意したいですね。わざとではなくても、スリと勘違いされかねません。
第8位 ブッシュマスターが訴えられる
Photo via reuters.com
サンディフック小学校銃乱射事件の遺族が犯行に使用された銃(XM15-E2S)のメーカーであるブッシュマスター社を訴えました。事件が起こる→メーカーが訴えられる→大論争→規制を警戒して銃が飛ぶように売れる・・・という流れは毎度のことです。
日本のヤフーニュースのコメント欄では乱射事件が起こると「NRAのせいだ」「NRAも家族が射殺されたら理解するはず」といったコメントがトップを占めますが、私はそうは思いません。NRAは400万以上の人々に支えられた組織であり、NRAが消えても新しい組織が出来るだけですし、家族が射殺されても銃で自衛できなかったことを悔やむだけで、銃を恨む方向へ向かうとは想像もできません。そもそも、彼らは銃を悪だとは考えていないのですから、その発想に至らないでしょう。
第7位 Tannernite(爆薬)がオハイオ州で違法になる
Photo via Guns.com
いわゆるバイナリ爆薬で、2種類の物質が混ざると爆薬となる製品です。混ぜなければ爆発しません。アメリカでは爆薬ターゲットとして使用され、通常はライフル弾など高速弾が命中すると爆発し爽快感を楽しめます。近年、大量に集めて爆発させるケースが多発し問題となり、3~5マイル離れたところまで爆音を轟かせ逮捕されたり、死者も出ています。
第6位 各地で慢性消耗病が確認される
鹿が発症する病気です。
Wikiによると
慢性消耗病(まんせいしょうもうびょう、英: chronic wasting disease; CWD)とはシカのプリオン病。ミュールジカ、シカ、オオジカにおいて発生する。通常は 3-5 歳齢で発生し、多くは発症後数日以内に誤嚥性肺炎により死亡する。診断は病理組織学的検査および異常プリオンタンパク質の検出により行う。治療法はない。
Photo via cwd-info.org
黄色で示された部分が鹿の感染が確認されている地域。ハンターにとっては大変気になる話題です。
第5位 コルト社の工場が国立公園に指定される
Photo via usnews.com
1855年にサミュエル・コルト(1814-1862)によって建造されたコルト社の工場(ハートフォード・コネチカット州)を国立公園に指定する案が議会を通過し、オバマ大統領がサインしました。近年は倒産の危機に苦しむコルト社ですが、銃器犯罪のとばっちりから訴訟を起こされている立場であり、国立公園の案にコルト社は消極的でした。
偶然かわかりませんが、2014年はサミュエル・コルト生誕100周年にあたります。
第4位 米陸軍が次期制式ピストルの採用を検討
Photo via gunsamerica.com
1985年から30年に渡り使用されたベレッタM9ピストルに代わる新たなピストルを採用するため、プロジェクトを発足させました。S&WとジェネラルダイナミクスはM&Pベースで参加し、ベレッタ社もM9A3を発表しました。
M9A3はグリップが細身になり、マガジンの装弾数は17発で防砂処理が施されています。バレルはサプレッサー装着用にスレデッド・バレル仕様で、着脱可能なトリチウムサイト(前後)、ミルスペック・アンダー・レイルを装備しています。
第3位 バックグラウンドチェック数記録更新
ブラックフライデーで銃の販売数が通常時の三倍となり、FBIによるバックグラウンドチェック数が記録更新しました。
FBIは600人が残業し175,000件を処理しましたが、長時間待たされた客も多かったとのこと。
通常は一日あたり約58,000件が処理され、うち約500件が不許可となるそうです。
第2位 複数の州でサプレッサーを使用する猟が合法化
Photo via sigforum.com
サプレッサーを使用したハンティングが合法化される流れが進んでいます。上のマップは8月分なので若干古いですが、11月にフロリダ州、12月にオハイオ州が合法化されました。
ピンクと赤以外の州ではハンティングにサプレッサーを使用できます。
第1位 エバ・ショッキーさんが注目を集める
Photo via wideopenspaces.com
カナダ出身の有名女性ハンター、エバ・ショッキーさん(26)を巡って大炎上しました。
アウトドア雑誌フィールド&ストリームの30年の歴史で初めて女性としてカバーを飾るなど有名な彼女ですが、Facebookにノースカロライナ州で仕留めた熊の画像をアップしたことで炎上し、脅迫を受けたりTV出演するなど騒ぎとなりました。
動物愛護主義者と徹底的に対立したものの、彼女は「謝罪することはない」と最後まで折れませんでした。
「楽しむために動物を殺している」と怒る人がいる一方で、動物の頭数を制限することで種を保護したり、肉を食べたり、家畜や農産物を守るためにハンティングが必要であることも事実です。