Beretta M9A3は不採用?

米陸軍のトライアルに参加表明したベレッタ

昨年12月10日、ベレッタ社は米陸軍の次期制式ピストルトライアルであるMHS(モジュラー・ハンドガン・システム)に参加表明しました。MHSが必要である理由は、現用のベレッタM9が製品寿命に達したためであり、パーツ交換にコストが掛かりすぎるため、この機会に新規のピストルに入れ替えて維持費を削減すると同時に、より高性能なピストルを採用できないか模索する目的があります。

 

Beretta M9A3
Photo via gearscout.militarytimes.com

 

ところが、米陸軍の構成制御委員会(Configuration Control Board)は、ベレッタM9A3が評価対象外である見通しを明かしました。これは公式発表ではなく、ベレッタ社も現時点で報告を受けていないので決定事項ではありませんが、ベレッタにとってあまり良いニュースではありません。ベレッタ側は、せめて評価してから決定するべきとの意見を持っています。政治的問題があるのか、詳しい内情は不明ですが、今後の行方に注目したいと思います。

 

 

セイフティ・レバーに問題あり?

M9の不利な点の一つにM9のセイフティー・レバーがあり、ジャムクリアのトレーニング中にうっかりレバーを下げてしまうことでハンマーがデコックされ、セイフティがオンになることが頻繁にあるとのことです。もし、これが軍にとって運用上の問題であれば、ベレッタ社は92Gに使用されるGタイプのレバーに変更するでしょう。ベレッタ 92Gのレバーはセイフティではなくデコッキング・レバーなので、レバーを下げるとハンマーがデコックされ、指をレバーから離すと自動的に元の位置に戻る機能が備わっています。ベレッタ M9A3のセイフティー・レバーは92Gと互換性があるので、交換は全く問題ありません。

 

berettam9a3left
Photo via guns.com

 



私は射撃経験の大半をベレッタ 92FSに費やしたので、ある程度の長所と短所を認識しているつもりですが、92FSは非常に優秀なピストルだと思います。ジャムが少なく、高い命中精度があり、メンテナンス性が高く、クリーニング不足でも作動し、腐食に強く、重量バランスも良い。しかし、セイフティレバーの位置、銃全体の大きさは弱点かもしれません。セイフティーがオンにならなくても、セイフティ・レバーが邪魔だと思われることはあるでしょう。(ロッキングブロックの割れとマガジンの耐久性の問題は、交換次期が予測できるので大きな問題ではありません。)

設計が古いので時代遅れ感があるのは否めませんが、現在でも高水準のレベルを維持しており、コスト削減の問題がなければまだ軍で戦えていたピストルだと思います。もし「戦場に持っていくピストルを1丁選べ」と問われたら、私は迷わずベレッタ92FS/M9を選択するでしょう。

 

 

9mm VS .45ACP

アメリカでは.45口径のファンが多いので、次期ピストルは.45口径に期待する声もあります。しかし、様々な体格と身長で構成された軍全体を見渡したとき、果たして.45口径が適しているか?と疑問に思います。また、実際のガンファイトでは銃創学的にみても一発のストッピングパワーより弾数の多さにメリットがあり、強い精神的プレッシャーに置かれる状況を考えても9mmは軍用制式としてベストの選択だと思われます。

最近、FBIは9mmから.40口径に変更したことを後悔しだしており、9mmに戻そうという声があります。その理由は9mmと.40S&Wにはスペック上で違いがあるものの、実際のストッピングパワーには大きな差が無いことと、弾薬が強力になったことでパーツの消耗が早いというコストの問題があります。しかし、米陸軍は9mmから.40S&W~.45ACPへの変更も検討されており、FBIとは真逆の思想を持っていることが興味深いです。個人的には、9mmは軍の制式とし、大口径を採用する必要があるならば、特殊部隊向けとした方が良いと考えています。以前、タクティカルリスポンス社のジェームス・イェーガー氏がガンファイト時のピストル弾(9mm~.45ACP)によるストッピングパワーについて、「どれも一緒だよ」と発言していましたが、全く同感です。そう考えるならば、装弾数の重要性がより際立ちます。

 

 

今後の予定

今後、米陸軍は次期制式ピストルの初回購入分で28万丁を2017年に納入し、更にそのサブコンパクトバージョンを7,000丁、米陸軍以外の軍で212,000丁を追加購入する予定です。ベレッタは2012年9月に10万丁のM9ピストルの契約を結んでおり、うち2万丁は納入予定済みで、残り8万丁はM9より安価でM9A3を納入する可能性があるとのことです。

 

Beretta-M9A36
Photo via beretta.com

 

 

Beretta M9A3の仕様

M9A3はM9と同じくショートリコイル・ディレード・ロッキング・ブロック・システムを採用しており、高い命中精度を持ちますが、様々な点がアップグレードされました。

 

  •  スレデッド・バレル
    サプレッサー装着用にマズルにネジが切られており、サプレッサーを使用しないときはスレッドプロテクターで守られています。サイズは1/2″ X 28なので汎用性があります。
  • ドーブテイル・フロント・サイトとリアサイト
    着脱可能なトリチウム・ナイト・サイトがフロントとリアに装備されているので、暗い場所でも視認性が高い。リアサイトは2ドットです。
  • セラコート(Cerakote)・アース・トーン・フィニッシュ
    スライドにセラコートというコーティングが施されています。これはセラミックのフィルムをコーティングしたもので、418Rステンレスの184倍の長さの耐腐食性能を持ちます。
  • ユニバーサル・スライド・デザイン
    タイプFとGのセイフティ・レバーやデコッキング・レバーが使用できます。
  • 3スロット MIL-STD-1913レイル
    ミルスペックのアンダーレイルを装備しているので、ウェポンライトなどのアクセサリーを装着できます。
  • アノダイズド・アース・トーン・フィニッシュ
    フレームはアルマイト処理が施されています。
  • オーバーサイズド・マガジン・ボタン
    マガジンキャッチが大きくなり、より確実にマガジンを抜けます。
  • ラップアラウンド・バックストラップ・ユニット
    オプションでバックストラップを包み込んだグリップが用意されています。これによりシューターの手の大きさに対応し、グリップ力を高めます。
  • ヴァーテック・スィン・グリップ・パネル
    グリップ・パネルが薄く、ホールド感を向上させています。元々M9のグリップは大きめですが、M9A3ではスリムになり、手が小さめのシューターでも扱いやすくなっています。
  • ベベルド・マガジン・ウェル
    マガジン・ウェルが備わっており、マガジンが挿入しやすくなっています。
  • 防砂17連マガジン
    装弾数が15発から17発に増加し、PVDコーティング(物理蒸着)が施されています。オプションとして15連、20連、30連マガジンが用意されています。

 

使用弾薬は9x19mm(9mm Luger)、銃身長は5.1インチ、サイトレイディアス(フロントサイトとリアサイトの距離)は6.1インチ、重量はアンロード状態で940gです。M9A3の76%のパーツがM9と互換性があります。軍へのセールスポイントは、操作方法が変わらないためトレーニング時間を節約でき、M9より信頼性が向上し、数次第でM9より安くなるとのことです。

 




 
 
 
 
 
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