市民の銃所持禁止、違憲 米連邦最高裁

米国:市民の銃所持禁止、違憲 ワシントンの法律巡り、米連邦最高裁

 【ワシントン草野和彦】市民の拳銃所持を禁じた首都ワシントンの法律について、米連邦最高裁は26日、「個人は憲法上、銃を所持する権利がある」として違憲判決を出した。最高裁が個人の銃所持を憲法上の権利と明確に判断したのは、初めて。一定の銃規制は認める内容だが、判例が確定したことで、銃社会の米国で、完全な銃禁止法の制定は事実上、不可能になった。

 裁判は、警備員のディック・ヘラーさん(66)が自宅での拳銃所持を求めて訴えたもので、9人の判事の結論は5対4の小差だった。判決は「自己防衛目的での所持を禁止することを、憲法は認めない」と判断。拳銃について「自宅への侵入者に照準を合わせながら、もう一方の手で警察に通報できる」と有効性を指摘した。

 その一方で「拳銃の暴力の問題は認識している」とし、同市側の拳銃規制の余地を認めた。また、犯罪者・精神疾患者の銃器所持や、公共施設での銃器所持を禁止した従来の法に、この日の判決は影響しないとした。

 米国内では、武器所有を認めた憲法修正2条について、州兵のみか、個人も含めるかを巡り論争があったが、この日の判決で決着。AP通信によると、銃規制反対の最大勢力の全米ライフル協会(NRA)は判決を受け、他都市の銃規制を対象に、違憲訴訟を検討し始めた。

 ヘラーさんは判決後に記者会見し、「これで自分と家族を守ることができる」と語った。一方、ワシントンのフェンティ市長は「拳銃が増えれば、暴力が増えるだけだ」と反発、拳銃所有の登録制を導入する方針を明らかにした。

 ワシントンでは1976年以来、市民の拳銃所持を禁じている。

 ◇「失望した」「安全になる」

 【ワシントン草野和彦】全米中の注目を集めた判決を出した最高裁前にはこの日、銃規制賛成派と反対派数百人が結集。ホワイトハウスや大統領選候補も、判決を受けて声明などを出した。

 銃規制運動の先頭に立ってきた市民団体「銃の暴力を防ぐブレイディキャンペーン」代表のポール・ヘルムキー氏は「失望した」。ただ、判決がある程度の規制を認めたこともあり、「今後も良識のある規制を求めて闘っていく」と語った。

 一方、原告弁護士のアラン・ギュラ氏は「ワシントンがより安全になる」と発言。また、NRAは「建国の父たちが意図したことを、最高裁が認めた」との声明を出した。

 2人の大統領選候補は選挙を意識して発言。共和党指名候補に内定したジョン・マケイン上院議員はNRAの支持を受けていることもあり「憲法修正2条にとり画期的な勝利だ」と喜んだ。リベラルとされる民主党指名内定候補のバラク・オバマ上院議員は「判決は地方裁判官らの手引きとなるだろう」と慎重な言い回しだった。

 またペリーノ大統領報道官は「ブッシュ大統領は判決に強く同意している」と語った。

毎日新聞 2008年6月27日 東京夕刊

 

これは歴史的な判決になったと思います。「理想」か「現実」かという問題で、最高裁は「現実」を選択するという、極めて現実的な「答え」が出ました。「自分の身は自分で守る」が常識のアメリカで、当然の結果ともいえそうです。

「何が歴史的なの?」と疑問を持った方へ記事より少し詳しく解説すると・・・、

銃規制の論争では、賛成派と反対派の間で「憲法修正第二条(Second Amendment)」の解釈が問題とされていました。これには、次の条文が書かれています。

「規律ある民兵は、自由な国家の安全にとって必要であるから、市民が武器を保有し、また携帯する権利は、これを侵してはならない。 A well regulated militia being necessary to the security of a free State, the right of the People to keep and bear arms shall not be infringed.」

この条文で「銃を所有する権利」を認めているのは、「民兵」なのか?それとも「市民」なのか? この解釈をめぐって長い間論争が繰り広げられていました。

かつての米大統領トーマス・ジェファーソンが、

「政府が国民の自衛権を取上げようと何らかの行動を起こしたとき、そのときこそ第二条が本当に必要になるだろう。」

・・・と発言したことがありました。銃所持派は、「市民が力(銃)を持たなければ、政府が暴走したとき、それを止めることができない。」と主張し、同時に、「民主主義を守るためにも銃が必要である」との考え方があります。

一方、銃規制派は、「憲法が保障しているのは国家の安全を守る民兵を組織するための武装権であり、市民の武装権ではない。」と主張してきました。

しかし、今回の最高裁の判決により、憲法は一般市民の銃所持を認めているという解釈がされたのです。これにより、銃規制推進派の「憲法は銃所持を保障していないぞ!」という論法は今後通用しません。

 

日本人だけに限らず、平和ボケした人は「銃が無ければ安全な社会」と主張したり、「兵器が無ければ戦争が無くなる」など、理想論を展開しがちです。実情を知らなければ、こうした考えになるのも判る気がしますが、解決策の無い理想論で社会が平和になるなら苦労はしません。

銃を悪とする人は「銃を法律で禁止すれば社会から銃が無くなる」と、本気でお考えなのでしょうか?と問いたい。

米国には、銃で民主主義を勝ち取った歴史があり、銃はいわばアメリカ文化の一つです。また、米市民には政府を信用せず、銃を取上げるようなマネが始まれば本気で政府と戦争を始める人が大勢居ます。もし本格的な「刀狩」ならぬ「銃狩」が始まれば、反対した政治家に票が入らないどころか、暗殺事件が多発し、各地のミリシアが勢力を拡大、内戦勃発・・・など、現実としてあり得る話しです。

これが極端な予想だとしても、実際に銃を法律で禁止したところで、素直に銃を手放す人はごく僅かでしょう。一度流通した銃を回収するなど現実的に不可能です。

緩やかな規制すら難しい米国では、銃の全面禁止など絶対にあり得ないこと。しかも、憲法で保障されていると判決された今では不可能。・・・では、今後どうすれば良いのか?

私は、「米社会は銃との共存を目指すことが得策」だと考えます。

善良な市民が銃を所持する権利を認めつつ、精神異常者や犯罪歴のある人物をバックグラウンドチェックではじくといった基本的な規制を全州で整備し、銃の登録先が曖昧な違法な銃を生まない仕組み作りが重要だろうと思います。現在では一度登録された銃が転売された場合、その銃をトラッキングするのは殆ど不可能なので、まずは誰がどの銃を所持しているのかをハッキリさせてはどうかと思います。

・・・とはいえ、こういった規制すら難しいのが現実のアメリカ。銃器問題はあまりに複雑で、問題が多すぎます。全てを解決するには時間が必要で、少なくとも私たちが生きている間に銃が米国内から根絶されることはないでしょう。

不勉強な銃器反対派の皆さんは、「銃を禁止しろ」なんて単細胞なことを言わないで、もっと研究して現実を直視する能力を身に着けてはいかがでしょうか。


 
 
 
 
 


にほんブログ村 その他趣味ブログ ミリタリーへ にほんブログ村 その他趣味ブログ サバゲーへ にほんブログ村 その他趣味ブログ トイガンへ