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22口径の.22LR弾が護身用に適さない理由

22LR弾

.22LRという小さな弾薬は、護身用(セルフディフェンス)として利用するのに適した弾薬なのでしょうか?

この問題について解説します。

.22LRホローポイント弾は護身用として有効?

これはCCIの.22LRホローポイント弾が護身用として有効か?を検証した動画です。

この動画からわかるポイントは、.22LRほどの軽量弾頭で小口径では弾速が遅いと弾頭が拡張しないことがあるという問題点です。

同じ弾をピストルとライフルで撃ち比べた結果、ピストルを使用した場合では弾速が足りず拡張(マッシュルーミング)しないため、着弾後の抵抗が小さいため貫通力が高くなります。

一方、ライフルを使用すると弾速が高まるため着弾時に拡張が起こり、ピストルから発射される場合と比較して貫通力が低くなります。

本来、高いストッピングパワーを得るには「弾頭の拡張」と「貫通力」の両方が必要となりますが、.22LRのような軽量弾では限界があります。

軍や法執行機関での利用

銃の画像
アメリカン180 Photo via tactical-life.com

かつて1960~1970年代のアメリカの法執行機関では、.22LRのサブマシンガンを制式採用していた時代がありました。

しかし、キャストブレット(鉛弾)では貫通力が高いうえ、フルオートを利用していたこともあり、二次被害の問題から使用されなくなりました。

銃の画像
イスラエル軍スナイパーとルガー10/22 Photo via rugertalk.com

現在、イスラエルの治安部隊は.22LRのルガー10/22を暴徒鎮圧用などに利用していますが、こうした例は多くありません。

ストッピングパワーの問題

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ワルサーPPK/S .22LR Photo via gun.deals

護身用として使用する場合、ターゲットとなる攻撃者を行動不能にする目的があるため、神経、臓器、血管にダメージを与えたり、流血によって血圧を低下させる効果がある弾薬が有効になります。

これは液体の入った容器から液体を抜くようなもので、.22LR(5.56mm)と9mmを比較したとき、.22LRで9mmより多く出血させるには、1発だけでなく2発3発と多くの穴を空けることで達成できます。

.22LRのような弾頭重量と腔圧の値が小さい弾薬は反動が小さいため速射しやすく、速射時でも命中率が高くなる傾向があります。

このメリットを活して短時間に多くの弾を命中させることが可能なら、総合的に有効なストッピングパワーが期待できますが、ストレス状況下では普段の状態より命中率が低下するため簡単なことではありません。

攻撃者を無力化しない選択?

.22LRを護身用として選択するもう一つのアイディアは、「攻撃者を無力化する」のではなく、「攻撃者を追い払う」という目的で利用することです。

1発の.22LRだけでは致命傷となる部位に命中しない限り、行動不能に陥る確率が低いため、攻撃者に逃走能力を残しておけます。実際、この使い方を目的に.22LRを護身用として選択している人もいます。

しかし、これは全てケースバイケースです。

1発被弾した攻撃者が激高し、より攻撃的になった事例があります。

また、2発3発と続けて被弾することで戦意喪失し逃走する事例もあれば、攻撃者の体力が続く限り倒れるまで攻撃を続け、危険な状況に陥った事例もあります。

また或いは、当たり所次第により一発で行動不能になった事例もあります。

結論

私の個人的な考えでは、.22LRを護身用として使用するのはおすすめしません。

攻撃者を無力化する能力については、複数弾を命中させると効果が期待できますが、銃や弾薬の信頼性の問題から対人用として利用することを避けた方が良いと考えます。

銃の画像
Photo via handgunsmag.com

.22LRのようなリムファイアカートリッジは、軍や法執行機関で使用されるセンターファイアーカートリッジと比較して不発率が高いという問題があり、一瞬の行動が生死を分ける状況において不発率の高いリムファイアカートリッジは適切な弾薬とはいえません。

銃の画像

また、.22LRで利用されるリムドケースは、ケースのリム径が大きいためマガジン内で引っ掛かりやすく、ジャムを起こしやすい傾向があります。

そのためオートピストルとの相性が悪く、作動の信頼性が劣ります。

※リボルバーやシングルショットピストルなどではこの問題はありません。

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