全米ライフル協会とは、客観的に見てどういった団体なのでしょうか?概要は知っているのですが、どうも極端に誇張されてばかりのようです。特に日本では、ネット上で調べてもトンデモ集団のような扱いで笑われていたりするだけで、実際のところがよく分かりません。そんなに過激な団体では無かったと記憶していますが…?
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全米ライフル協会(NRA)は、一言で言えば「射撃技術を啓蒙する非営利団体」です。
1871年にニューヨークで設立された団体ですが、切っ掛けは兵士の射撃技術の低さを憂い、南北戦争の北軍の将軍等によって射撃技術向上のための「ライフル射撃クラブ」から始まっています。
この活動は現在でも継続されており、NRAの主な活動は、射撃大会の開催、安全の教育、民間から法執行機関まで幅広く射撃技術を向上させる活動等がメインです。
マスコミではNRAが銃規制法成立を阻止する圧力団体と報道していますが、これは正解でもあり、間違いでもあります。
アメリカではこれまで複数の銃規制法が施行されていますが、実際NRAは、NFA(1934年)、FFA(1937年)、GCA(1968年)といった大きな銃規制法を寧ろ支持してきましたし、21世紀でも銃規制法の内容によって支持する立場をとっています。
しかし、憲法や連邦高裁判決で保障されている武装する権利を脅かす恐れがある法律には反対しており、ロビー団体として注目され始めたのは1970年代に入ってからといえます。
また、歴史的に古くから議会や政治家との繋がりも深いため、強い発言力があるのも事実です。
マスコミやリベラルにとっては、NRAという象徴的な存在はターゲットとして打ってつけと言えるかもしれません。
銃規制が進まない原因がNRAという組織の仕業というイメージは、知らない人から見ても理解しやすいでしょう。
しかし、NRAの活動は合法であり、彼らが持つ力の背景には、500万人をこえるNRA会員と、その更に後ろには巨大な銃器市場が存在します。この市場規模は膨大で、429億ドル(約4.8兆円)と言われています。
NRAが謎の力で好き勝手な活動をしているわけではなく、大勢の支持者が保障された権利を守ることを望んでおり、マスコミが伝えない銃関連ビジネスで生活している人にとっても死活問題なため、NRAは支持者の力によって活動しているともいえます。
私は常々思うのですが、銃規制を推進する側は、NRAと同様に「対抗するロビー団体」を一本化し、大きく育ててはどうかと思います。そしてNRAと同じ方法で寄付を募ったり、合法的な政治献金をするなどして闘ってはどうでしょうか。(恐らく支持者と資金がNRAほど集まらないと思いますが)
マスコミで行われているような嘘と誇張を織り交ぜたイメージ戦略でNRAを叩く行為は、民主主義と資本主義を否定しているかのようで、個人的にアンフェアだと感じます。
本当に人々が銃規制を必要としているなら、規制を推進する議員への投票行動で示されるのではないでしょうか。