PR

テフロンコーティングされたKTW弾とは何ですか?

Photo via gunauction.com
Photo via gunauction.com

KTW弾は貫通力の高いピストル弾です。

スチールや銅のコアにテフロン・コーティングした構造となっており、コーン型の形状が特徴です。

開発の歴史と背景

KTWとは3人の開発者(Paul J. Kopsch/Dan Turcus/Don Ward)の頭文字を取って、KTWと名付けられたもので、 本来、警察など公的機関向けとして1960年代に開発が始まり、自動車のボディーを貫通させる目的で誕生した徹甲弾の一つでした。

3人は1968年にKTW社を起業し、1980年からNAOC(ノースアメリカン・オードナンス社)と契約し共同で製造と販売を開始しています。

KTWはボディー・アーマーを貫通する能力があることは知られていましたが、1982年1月にNBC TV局が”コップ・キラー弾(警官殺し弾)”として大々的に報道し、一般にも知られ社会問題化しました。

しかしながら、KTWは警察向けに販売するというポリシーは一貫しており、民間市場に流れたものの数は多くなく、製造中止後の現在ではコレクターズ・アイテムとなっています。

また、「コップ・キラー(警官殺し)」と呼ばれたものの、警官がこの弾で撃たれたという事例は一度もありませんでした。

騒動となったKTWの影響でいくつかの州で弾頭にテフロン・コーティングを施した弾の製造と販売が禁止されましたが、法律施行前から所持していた場合は、そのまま所持が可能です。

そして1982年から4年間、貫通力の高い拳銃弾に関連する規制についての議論が続き、1986年に議会で規制法が承認され施行されました。

規制法の内容は、「ハンドガンに使用される弾頭のコアに、タングステン合金、スチール、鉄、真鍮、青銅、ベリリウム銅、劣化ウランを使用、まはた22口径以上の弾丸でジャケットの重さが弾丸総重量の25%を超える弾はアーマーピアシング弾となる」といったものです。

これにより、各州法で規制法が施行される流れとなり、次第にKTWは市場から姿を消すこととなりました。

追記

KTWに対する間違った認識や誤解を解消するために、情報を追記したいと思います。

KTWは現在でも入手可能ですか?

KTW弾は州によっては所持、購入(売買)、射撃が可能です。

ですが、アラバマ州、ノースカロライナ州、オレゴン州など、州によってはテフロンコーティングされた拳銃弾が規制されているため所持できません。

州によってテフロンコーティングの拳銃弾が規制される理由は何ですか?

当時のメディアが流した「KTWはテフロンコーティングによって貫通力が高い」という間違った情報により誤解が広まったのが原因です。

テフロンコーティングされているから貫通力が高いのですか?

よく誤解されることですが、厳密には違います。

元々KTWのテフロンコーティングは銃身の摩耗を防ぐために施された加工でしたが、ソフトアーマーに使用されるケブラー繊維は滑りやすい弾頭に対して停弾効果が弱くなるため、このコーティングにより約二割増の貫通力向上効果があると言われています。

テフロンコーティングがケブラー繊維のボディーアーマーに対する貫通力向上に一役買っているのは確かですが、自動車のボディーなど金属面に対して貫通力が高い理由ではありません。

テフロンコーティングによって弾頭の変形を抑える効果もありますが、これは貫通力が高い原因として大きくありません。

なぜ貫通力が高いのですか?

貫通力が高い主な原因は、コアの硬さによるものです。

通常の拳銃弾はコアに鉛を使用していますが、KTW弾はスチールや銅のコアを使用しているため着弾時の変形が少なく、高い貫通力を持ちます。

自動車のドアを貫通させる目的で警察用徹甲弾として開発されたため、発売当時はKTWメタルピアサー(メタルピアシング)などと呼ばれていました。

KTWが廃れた理由は何ですか?

連邦法でアーマーピアシング弾が定義され、それに続いて各州法でもテフロンコーティングの拳銃弾を規制するなど、類似の法律が各地で整備されるようになりました。

これによりKTWに悪いイメージが付き、警察向けだったKTWは採用を見送られた他、民間市場でもセールスが期待できないと判断されたと考えられます。

タイトルとURLをコピーしました