AR15の80%ロアレシーバーとは?

faq_q80%ロワーなどのパーツはどういった区分なのでしょうか?

以前販売メーカーがATFの強制的捜査対象になって突入を受けたというニュースを耳にしました。

アメリカでは資格がなくても銃の製作が許されるのでしょうか?

 

faq_aこの問題については様々な疑問が湧くところだと思いますので、疑問点を分けて簡潔に解説したいと思います。

 

 

80%ロアレシーバーとは何か?

Photo via hahntactical.com
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80%ロアレシーバー」とは、8割完成した状態のロアレシーバーのことです。

このレシーバーにはトリガーやハンマー(ファイアーコントロールユニット)が入るスペースが確保されておらず、まだ未完成のため、この段階ではアメリカの法律上の銃ではありません。法的には、ただの金属、或いは樹脂の塊です。

アメリカの銃規制法では、レシーバーなどといった機関部が銃と見做されており、そこにシリアルナンバーが打刻されると合法的に売買が可能となります。一方、その他のパーツは銃と見做されないため、売買に規制はありません。

この80%ロアレシーバーを完成させるには、残り20%分の工作が必要となり、購入者が自分でドリルなどの工作機器を使用して完成させます。

80%ロアレシーバーは現時点で合法であり、アメリカでは一部ユーザーの間で流行しています。

 

 

Photo via 80percentarms.com
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そしてこちらは、80%アームズ社が販売する「0%ロアレシーバー」です。

価格は28.99ドル(約3,000円)。

ただのアルミの塊なので、個人で完成させるには大変な作業量となりそうです。

 

 

80%ロアレシーバーの条件とは?

ロアレシーバーが「銃」の定義から外れるには、

  • トリガーやハンマーが入るスペースが一切確保されていないこと(スリットや凹みも不可)
  • そのスペースの側面に穴や凹みが一切存在しないこと

・・・が条件となります。

ロアレシーバーのトリガーユニット等が入る場所に印や凹みを設けて削る場所を指定すると、そのレシーバーは80%ロアレシーバーではなく、「銃」と定義されます。

これは、80%レシーバーが市場に登場した当初は問題とならなかったのですが、あまりにも簡単に銃が完成してしまうことが問題視され、ATF(アルコール・タバコ・火器及び爆発物取締局)によって新たに基準が設けられました。

そもそも銃の定義は、1968年に制定されたアメリカの銃規制法、「ガンコントロールアクト1968(GCA)」で定義されました。定義については以前に記事「カテゴリー不明な謎の銃 BAT-DT」や、「クイズでわかるアメリカ銃社会」等で解説しましたが、80%ロアレシーバーが銃と認定できるのか、合法か非合法かということも、この銃規制法に照らし合わせて判断されています。

 

 

メーカーが強制捜査となった理由

80%ロアレシーバーは合法ですが、これを製造するメーカーの1つであるEPアーモリー社は、「購入者のバックグラウンドチェック(犯罪歴照会)無しで違法に銃を販売した」として、ATFによる家宅捜索を受けました。

Photo via thetruthaboutguns.com
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EPアーモリー社の違法とされた80%レシーバーには、トリガーやハンマーが入る場所に材質が異なる色違いの樹脂が充填されており、この部分を削るだけで簡単に完成させられる構造でした。

そして、一度完成したレシーバーに樹脂を充填して「穴埋め」する製造工程が問題視されました。

ATFは、「一度完成した銃は常に銃 (once a gun always a gun)」と考えているため、製造工程で完成した銃は後で再加工しても銃であるとし、この製品は、「80%ロアレシーバーではなく、法律上の銃である」と判断されたのです。

 

 

 

80%ロアレシーバーを完成させる方法

Photo via lockestone.com
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80%ロアレシーバーを完成させるには、このようなジグ(冶具)を使用するのが一般的です。

ジグは様々なメーカーから販売されており、価格もピンキリですが、高くても1万円以内でフルセットが購入できる価格設定です。

80%ロアレシーバーも60ドル程度で購入できることから、少しの作業で意外と安価にAR-15を完成できます。

Photo via lockestone.com
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このように80%ロアレシーバーをジグの内側にセットし、ジグ側面に空いた穴に同じ大きさのドリルの刃を入れるだけです。

ハンマーが入る穴は容積が大きいので、何度も穴を開けたあとでバリを削って仕上げます。

ジグによってはドリル刃にストッパーを付けるためのパーツもあり、適切な深さまでドリルを通すことができます。

説明書通りに作業すれば、初心者でも難しくありません。

 

 

個人が無免許で銃を製造しても良いのか?

アメリカでは、個人が無免許で自分用の銃を製造するのは合法です。日本では銃の製造が規制されていますが、例外はあるものの、アメリカでは商業目的の製造と、譲渡や売買(トランスファー)が規制されています。よって、80%ロアレシーバーを完成させてAR-15を組み上げても合法的に所有可能です。登録、バックグラウンドチェック、シリアルナンバー、全て不要です。
(※重罪判決を受けた者や、精神病患者など、合法的な銃の所有が規制されている者は、個人による製造であっても銃を所有できません)

ただし、無免許で誰かのために銃を製造したり、誰かに頼んで自分のために製造してもらうと違法となります。80%ロアレシーバーを完成させる作業も同様に、加工が面倒だからといって誰かに加工作業をしてもらうと、それは製造者が所有者に譲渡、または売買することと同じとなり違法です。80%ロアレシーバーは、最後まで自分の力で完成させる必要があります。

もし自分で製造した銃を誰かに譲渡したり販売する場合は、ロアレシーバーにシリアルナンバーを打刻し、FFL(フェデラル・ファイアーアームズ・ライセンス)を取得する必要があります。80%ロアレシーバーを完成させてAR-15を組んだ場合、これらの手続きを経なければ譲渡や売買ができません。

ちなみにATFは、「個人でスポーツ銃を製造する場合にFFLは不要ですが、盗難等に備えてシリアルナンバーの打刻をお勧めします」と述べています。実際、犯罪で押収された銃には、個人製造のレシーバーも含まれているとのことです。

ここで触れられている「スポーツ銃」には、フルオート火器やグレネードランチャーは含まれません。これらの銃を製造したり売買するには、ライセンスや許可が必要です。フルオート火器の製造は特に厳しく、納入先は政府機関のみとされているため、実質的に政府の許可なくフルオート火器製造の免許は取得できません。個人使用目的であれば何でも製造して良いというわけではないのです。

 

まとめ

今回ここで解説した内容は、このページを更新した現時点の法律を元にしています。

法律は常に改正されており、80%ロアレシーバーの法的定義は曖昧ということもあって、今後規制される可能性も否定できません。

新たに誕生したアイディアが後にATFによって否定されるという出来事は、今後も続くと考えられます。

 


 
 
 
 
 
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