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ミニガンとバルカン砲の構造とは?

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米軍のF/A-18ホーネットに搭載されているM61A1バルカン。 Photo via wikipedia.com

ミニガンとバルカン砲の構造について解説します。

ミニガンとバルカン砲の違いについては、こちらの記事をご覧下さい。

一般的な火器との違い

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バルカン砲が通常の銃器と大きく異なる点は、作動に火薬の力を使用せず油圧や電力によって作動させている点です。

一般的なマシンガンはスプリングと装薬の力を利用して作動しますが、ミニガンではモーターの回転力で装填と排莢を完結する構造です。

また航空機に搭載されるチェーンガンやバルカン砲は、使用する弾のプライマー(雷管)に電気プライマーが使用されています。

一般的な銃器の撃発方法は、ファイアリングピン(撃針)がプライマーを叩いて圧力が加わると撃発しますが、電気プライマーは電流が流れると撃発します。

ファイアリングピンによる打撃では無く電気で撃発させる理由は、搭載された航空機の挙動による強い重力(G)影響下でも確実に撃発させるためです。

しかし、給弾、装填、撃発、排莢という一連のサイクルは一般的な銃器と同じです。

ミニガンのメカニズム

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ミニガンはバルカン砲をコンパクトにした構造で類似点が多くあります。

今回はミニガンを例に構造を確認したいと思います。

リンクの分離

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個々の弾は金具(ベルトリンク)によって連結されており、回転するデリンカーローターによって弾薬が内部へ引き込まれます。


デリンカーは弾薬とリンクを分離するための機構で、ドライブロッドが弾薬を押してリンクと分離されます。

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ベルトリンク Photo via ammunitionstore.com
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リンクから分離した弾薬は回転するメインローターへ移動し、銃身軸上に配置されます。

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分離されたリンクは本体右側から外部へ排出されます。

薬室へ装填

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6本の銃身と6個のボルトがセットになっており、ローターの回転によってボルトが前後する構造です。

ローターの回転運動によってボルトが弾薬を薬室内へ装填すると発射準備完了となります。

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装填されるとボルトはロックされて閉鎖。

発射

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薬室内への装填が完了すると次に後退状態のファイアリングピンが解放され弾薬のプライマーを叩いて発射されます。

バルカン砲では薬室が閉鎖された次の瞬間に撃発用電源がオンになり、ファイアリングピンがプライマーに触れると同時に通電して撃発します。

排莢

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弾が発射されると閉鎖も解放され、薬莢は薬室から引き抜かれます。

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発射済みの薬莢はエジェクターに引っ掛けられて排莢されます。

よろしければ動画解説もご覧ください。

まとめ

これら一連の動作は回転中に起きているもので、弾が送り込まれて排莢するまでバルカン内部(ハウジング内)を1周するまでに撃発機構も銃身と一緒に内部で回転しています。

つまり、機関部は銃身毎に備わっており、同時に装填中の銃身とボルト、撃発中の銃身とボルト、排莢中の銃身とボルトなどがそれぞれの銃身で作動しており、6丁の銃が回転しているような撃発構造です。

ミニガンの発射速度は毎分3000発以上と非常に高速ですが、銃身1本あたりの発射速度は1/6の毎分500発以上となり、一般的なマシンガンより1本あたりの銃身の負担(消耗)が小さくなります。

また、「回転による遠心力で照準がずれないのか」という疑問もあるかもしれませんが、これは遠心力を受ける前に発射している為に影響を受けません。

使用する弾薬の初速は秒速1030mと高速で、撃発の瞬間から弾が銃口を離れるまで銃身は殆ど回転していない状態です。

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