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三脚(トライポッド)を使用したマシンガンの射撃方法

ご質問を頂きました。

三脚に乗っかっているマシンガンで、ブローニングM2でもビッカースMK1でも、三脚より手前で本体の下部に長いボルトねじのようなものが出ています。

それに円い輪っか状のネジがはまっています。

銃器の本を見ますと、「エレベーティング ハンドホイール」とか「銃射迎角調整ハンドル」という名称がついていますが、あの部品の役目は何でしょうか。

マシンガンのトライポッドについて解説します。

マシンガン用三脚(トライポッド)の使用方法とは?

エレベーティング・ハンドホイールは、回転させることで銃口を上下に動かし、着弾地点の調整を行うための装置です。

銃の画像
Photo via FM 23-65

上図はM3トライポッド(三脚)に搭載されたブローニングM2マシンガンです。

トライポッドの後部には、銃口を上下左右に動かすための調整ダイヤルが備わっています。

本来、ブローニングM2は両手でグリップを掴んで自由に上下左右へ銃口を向けることが可能ですが、夜間や薄暗い環境で決められた場所に向かって正確に射撃するために、この様な装置が備わっています。

これにより500~1,000メートルといった長距離においても、ある程度の正確な射撃が可能となっています。

銃の画像
Photo via keepshooting.com

これはT&E(トラバーシング&エレベーティング・メカニズム/ Traversing and Elevating Mechanism)と呼ばれる装置で、トライポッドに接続されたトラバーシング・バーの上を左右にスライドする構造です。

固定方法はトラバーシング・サイドロック・レバーを締めたり緩めたりして操作します。

トラバーシング・バーには中央から左右両側に向かって0~400の目盛りがあり、全体で計800の目盛りが刻まれています。

この目盛りは5ミル間隔となっており、1目盛り動かすと1kmの距離で着弾地点が約5メートル動く計算です。

仮に500メートルの距離で着弾地点がターゲットより2.5メートル左へずれている場合は、T&Eを左へ1目盛り分動かして修正します。

またT&E上部にはトラバーシング・ハンドホイール(下図参照)が備わっており、前後に回転させることで1ミル単位での左右の細かい調整も可能です。

ミルについての詳細は、関連記事の「ライフル射撃の基礎知識 ゼロインとMOAとMil」をご覧ください。

(因みに、上の画像はレバーの向きが前後逆に装着されています。正しくは、下図のようにレバーが手前になるように装着します)

銃の画像
Photo via FM 23-65

エレベーティング・ハンドホイールは円盤形で左右に回転し、右に回すと銃口が下へ向き、左に回すと銃口が上へ向きます。

エレベーティング・ハンドホイールの上と下にはサイズの異なるネジが切られており、それぞれアッパースクリューロアスクリューに分かれます。簡単に説明すると、大きなオスネジに小さなメスネジが切られている構造で、エレベーティング・ハンドホイールを回すと、それぞれシンクロして動作します。

アッパースクリューには縦に小さな目盛りがありますが、これはマイナス250ミル~プラス100ミルの範囲で可動します。

トラバーシング・バーの目盛りとは異なり、「1目盛り=1ミル」なので注意が必要です。

(1ミルは、1kmの距離で約1メートルです)

そして回転するエレベーティング・ハンドホイールにも目盛りがあり、これも「1目盛り=1ミル」で、0~50の目盛りが刻まれています。

銃の画像
Photo via FM 23-65

基本操作は、右手でグリップしながらトリガーを操作し、左手でエレベーティング・ハンドホイールを回してT&Eを調整します。

ブローニングM2マシンガンの場合、使用前にトラバーシング・ハンドホイールやエレベーティング・ハンドホイールの目盛りをゼロの位置で固定し、10メートルの距離でゼロインします。

銃の画像
Photo via FM 23-65

弾は距離が離れるほど集弾が大きくなります。

着弾地点にはシャワーのように広範囲に着弾するため、フルオートで5~7発ずつ射撃する「バースト射撃」で着弾地点を確認しながら射撃します。

マシンガンの精密射撃において、着弾範囲の中央がターゲットと一致するように狙うT&Eの操作が重要といえます。

また新型のM205トライポッドでもT&Eが使用されていますが、従来型よりも操作性が向上しています。

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