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銃が爆発(暴発)すると大怪我する?破裂事故の原因と対策

銃の画像
Photo via countryliving.com

映画やアニメで銃が破裂し登場人物が死亡したり怪我をするシーンがあります。

これは実際に起こり得ることでしょうか?

今回は銃の破裂について解説します。

破裂事故の例

非常にレアケースではありますが、特定の条件下で銃は実際に破裂することがあります。

破裂すると高圧ガスや吹き飛んだ破片で怪我をする場合があります。

無傷や火傷程度で済む場合もありますが、運悪く指を数本切断したり、手の平が裂けて大量に出血した事例もあります。

ハンドガンよりもライフルの方が装薬量が多いため怪我の程度が酷くなりやすいですが、どの方向にガスが逃げるのか、どのように破片が吹き飛ぶのかは予測困難で、怪我の状態はケースバイケースと言えます。

しかし、いずれにしても死亡事故は比較的レアケースといえます。

XDM破裂
Photo via pishtov.blogspot.com

こちらのスプリングフィールドXDMピストルは破裂によってフレームが裂けています。

破裂時の強いガス圧は強度の弱い部分(ガスが逃げられる方向)に向かって圧力を解放し銃を破壊します。

1911ピストル破裂
Photo via northwestfirearms.com

こちらの1911ピストルはスライドの下からダストカバーを折り曲げてガスが噴出したことがわかります。

グロック銃身破裂
Photo via Cowboy Guns 2.0

こちらのグロックは銃身が裂けており、銃身の先端近くで圧力が解放されたことがわかります。

S&W629リボルバー破裂
Photo via savannaharsenal.com

こちらのリボルバーはシリンダーとフレームのトップストラップを吹き飛ばしています。

リボルバーで破裂が起こるとガスの解放方向に傾向があり、ほとんどの場合このような壊れ方をします。

破裂の原因

装薬の問題

銃の画像
Photo via recoilweb.com

個人で弾を製造する、いわゆる「リローディング(ハンドロード)」によって作られた弾は、手順ミスや勘違いによって間違えた装薬の種類や量が使用されることがあります。

こういった弾を使用してしまうと、本来の燃焼スピードとは異なる装薬が異常高圧となり、銃身の耐圧限界を超えて銃そのものを破壊することがあります。

工場生産の弾(ファクトリーロード)でも、ごく希にそういった事故が起こることもありますが、非常にレアです。

気を付けたいのは古い弾薬の場合で、適正に製造された弾薬でも誤った方法で保管された弾薬や、製造年が古い弾薬を使用した際に装薬の形状や性質が経年で変化し異常腔圧になる場合があります。

ヘッドスペースの問題

ヘッドスペースの解説をする前に、基礎知識として銃の構造を簡単に解説します。

銃の画像

弾薬は銃身(バレル)後部に位置する薬室(チャンバー/チェンバー)に装填され、薬室内で撃発し装薬の燃焼によって発生した高圧ガスの圧力により弾頭が発射されます。

弾薬を薬室に装填し撃発するとニュートン力学の「作用反作用の法則」により、弾頭が前進すると同時に薬莢には後退する力が加わります。

このとき薬莢が後退すると高圧ガスが後方へ噴出するため、薬室の内圧が低下するまで薬莢が薬室内に留まり続けるように薬室を閉鎖する必用があります。

この薬室を閉鎖する蓋となるものがブリーチブロックと呼ばれます。(ピストルではブリーチブロックとスライドが一体化しているものが多い)

銃の画像
ヘッドスペース Photo via wikioedia.org

銃には決められたヘッドスペースがあります。

ヘッドスペースとはブリーチフェイス(銃身後端面)から薬室内に装填された薬莢が薬室内で止まる位置の最先端側を指します。

ヘッドスペースは弾薬の設計によってそれぞれ異なり、例を挙げるとボトルネックカートリッジではショルダーの先端からケース後端、リムドカートリッジではリムの厚みがヘッドスペースになります。

入門者向けとしては難しい内容ですが、銃身とブリーチブロックの位置関係によってヘッドスペースの大きさ(距離)が異なると理解していただけたらOKです。

本題の破裂問題に戻りますが、銃はブリーチフェイスとブリーチブロックの距離が適正であるべきで、これが長過ぎても短すぎても問題が起こります。

HK VP9 ピストル ジャム

仮にブリーチブロックとブリーチフェイスが離れすぎていた場合(ヘッドスペースが過剰な場合)、弾薬後部の厚みが薄い部分が薬室の外にはみ出してしまい、圧力により薬莢に穴が空いて高圧ガスが噴出しフレームなどを破壊する場合があります。

また、撃発時の薬莢の膨張によって過剰に薬莢が前後に引き伸ばされ薬莢後端に穴が空く、またはライフル弾などのボトルネックカートリッジの先端が破断し、破断した薬莢先端が薬室内に残されたまま次弾が装填され撃発し異常腔圧によって銃身が破裂することがあります。

銃を長期間使用しているとパーツの摩耗や変形によってヘッドスペースにズレが生じるため、破裂事故を防ぐためにも定期的なヘッドスペースの確認が必要とされます。

銃身(バレル)の破裂

銃の画像
Photo via wideopenspaces.com

製造ミスで装薬を入れ忘れた場合、弾薬後部に位置するプライマー(雷管)のみ撃発し、弾頭は銃口を飛び出すことができず銃身の途中で止まってしまうことがあります。

これに気づかずに続けて次弾を装填し発射すると、銃身内に許容量を超えた圧力が掛かり、銃身が破裂し裂けてしまうことがあります。

これは銃口から異物が侵入した場合でも同様の状態になる可能性があり大変危険です。

銃口は常にクリーンにしておき、射撃中に「普段よりリコイル(反動)が小さい」など異常を感じたらすぐに射撃を止めることが重要です。

私も装薬に異常がある弾薬(.45ACPと12ゲージショットシェル)を射撃した経験があるのですが、銃声が明らかに小さく反動も小さいため直ぐに気が付きました。

ただ、射撃に慣れていないと気にせず次弾を撃ってしまうこともあるため注意したいところです。