ルガーARXとはどんな弾ですか?

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Photo via ruger.com
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faq_aルガーARXは、スターム・ルガー社初のセルフディフェンス用弾薬です。

インジェクション・モールディング(押出し鋳込射出成形)を専門に行うポリケース・アムニション社と、大手銃器メーカーのスターム・ルガー社が共同で開発し、ルガー・ブランドで販売されています。

 

 

ARXの特徴

ARXはストッピングパワーの強いセルフディフェンス用弾薬ですが、通常のホローポイント弾とは異なり、弾頭先端に穴がありません。

穴の代わりに弾頭の周囲には3つのカーブを描く溝があり、ライフリングによって回転した弾頭が流体(人体)に着弾すると、弾頭周辺の流体を外側へ受け流す効果あります。

この効果は、いわゆるベンチュリ効果を利用したもので、流体が外側へ流されると弾頭周囲の圧力が低下し、弾頭が人体深部まで進みやすくなるという設計です。

Photo via ruger.com
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弾薬口径弾頭重量銃口初速マズルエナジー
ARX.380ACP56グレイン1315 fps215 ft-lbs
ARX9mmルガー80グレイン1445 fps385 ft-lbs
ARX.40S&W107グレイン1320 fps414 ft-lbs
ARX.45ACP118グレイン1307 fps448 ft-lbs
JHP.380ACP90グレイン1025 fps210 ft-lbs
JHP9mmルガー115グレイン1180 fps356 ft-lbs
JHP.40S&W180グレイン1000 fps400 ft-lbs
JHP.45ACP165グレイン1060 fps412 ft-lbs

ARXはポリマーと銅を混ぜ合わせた弾頭を使用しており、弾頭重量は通常のホローポイント弾と比較して非常に軽量です

弾のエナジーは弾頭重量と弾速のバランスにより変化しますが、ARXは弾頭重量を軽量化したことで弾速を向上させ、結果的に高いマズルエナジーを維持しています。

軽量弾頭のメリットは、弾速の高速化とリコイルの減少にあり、リコイルが小さくなれば速射性が向上して連続発射時の命中率が向上します。

しかし、その一方で弾頭重量の軽量化は流体に対して抵抗を受けやすく、深部まで届かなくなりやすいデメリットがあります。そこで、ARXは弾頭の溝でベンチュリ効果を利用して流体内での抵抗を最小限に抑えました。

 

 

類似弾薬:リーハイディフェンス・エクストリーム・ペネトレーター

ルガーがARXを登場させる以前から、リーハイディフェンス社は「エクストリーム・ペネトレーター」や「エクストリーム・ディフェンス」という弾薬を販売していました。

これはARXと似た弾頭設計がされており、弾頭周囲のスリットが流体を外側へ受け流す形状です。しかし、ARXでは弾の回転によって最大の効果が得られるよう設計されているのに対し、エクストリーム・ペネトレーターでは弾の回転は逆に抵抗となるよう設計されています。

エクストリーム・ペネトレーターは「ネジ回し」の先端に似ていることから、スクリュードライバービットと呼ぶ人もいます。

Photo via lehighdefense.com
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弾頭重量は通常のFMJと殆ど同じであるため、貫通力は拡張型ホローポイント弾とFMJの間を埋めるような設計です。

エクストリーム・ペネトレーターの効果は高く、ARXより優秀と評価するユーザーが多いのですが、この弾薬は非常に高価なのが欠点です。

9mmルガーでは1箱20発入りで30ドルとなっており、1箱25発入りで19ドルのARXより割高感が否めません。

 

 

ARX 9mmルガー 実射テスト

 

Youtubeチャンネルのtnoutdoors9はバリスティックゼラチンを使用し、ルガーARXの実射テストを行っています。

興味深いのはその弾道で、独特の弾頭形状と軽量弾のせいか着弾後は向きを変えやすく、ゼラチン内をカーブを描く弾道が確認できます。これは良く言えば「体内を暴れてくれるストッピングパワーの高い弾」ですが、悪く言えば「狙った箇所(臓器など)に命中しない弾」と捉えることもできます。

 

 

石膏ボード

Photo via tnoutdoors9
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左から順番に、ARX(80グレイン)、スピアーゴールドドット(124グレイン +P)、フェデラルHST(147グレイン)です。

石膏ボードを貫通後、バリスティックゼラチンで停弾した弾。

ホローポイント弾はしっかり展開しますが、ARXは形状に変化がありません。

よって、永久空洞はホローポイント弾より小さくなります。

 

Photo via tnoutdoors9
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石膏ボード貫通後のバリスティックゼラチン貫通深度は、ARXで13インチ(約33cm)と、貫通力は十分です。

FBIが要求する貫通力の最低ラインは12インチなので、石膏ボード貫通後で13インチはまだ余裕があります。

 

 

合板

Photo via tnoutdoors9
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合板を貫通後、ARXは分解しました。

着弾する物体が硬いと、ポリマーと銅のミックス弾頭では脆さが浮かび上がります。

 

Photo via tnoutdoors9
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割れたARXの貫通力は高くありませんが、バリスティックゼラチンを10インチ進むことができました。

恐らく、この状態ではストッピングパワーは殆ど期待できないでしょう。

一方、JHPは合板に着弾しても展開せず、バリスティックゼラチンの流体に衝突して初めて展開が始まるため、高い貫通力を維持しています。

 

 

板金

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薄い鉄板でもARXは割れてしまいます。

流体にのみ対応する設計のため、硬い素材を貫通後のストッピングパワーはあまり期待できそうにありません。

 

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バリスティックゼラチン内に残った弾頭重量は、ARXが54グレインと小さく、一方でJHPはほぼ100%の弾頭重量を維持しています。

最近のメジャーなホローポイント弾はコアとジャケットの弾頭分離が起きにくいように設計されており、大きく展開しながら深部まで到達する能力があります。数十年前のJHPと比較すると大幅に向上した性能に驚かされるばかりです。

 

 

まとめ

ルガーARXは対人用を想定したディフェンス弾薬です。四層デニムや石膏ボードに対しては弾頭形状を維持するものの、合板や板金では崩壊するため、あくまで直撃弾で効果を発揮する弾薬といえるでしょう。

バリスティックゼラチンの結果はあくまで目安なので、実際の人体に対して同様の効果が得られるとは限りませんが、結果を見るかぎり一般的なJHPと比較してARXも同様のストッピングパワーが期待できそうです。

特に、ARXは軽量でリコイルが軽減できるためマズルジャンプ後の復帰が早く、速射時に高い命中率が期待できるのがARX最大のメリットかもしれません。

また、マズルエナジーは他のJHPと比較しても同等か少し良いほどなので、ターゲットとの間に障害物がなければ高いストッピングパワーを発揮できるでしょう。

 

 

Ruger® Ammunition
http://www.ruger.com/micros/ammo/

 


 
 
 
 
 
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