空に向けて銃を撃って、落ちてきた弾に当たっても大丈夫?
大丈夫ではありません。
弾は90度の角度で真上に撃てば、やがて重力によって弾速がゼロに近づき、そのまま落下します。このとき弾は前方から落下することもあれば、後ろ向きに落下することもあり、空気抵抗を受けながら終端速度に到達します。
弾の終端速度は形状の差によって空気抵抗が異なるため、落下速度に差がありますが、概ね(条件次第で)200~700fpsと言われています。
この速度は日本のエアガンの初速と同等か2倍以上ですが、この速度の鉛の弾が人体に命中すればどうなるか、殆どの方が想像できるかと思います。
しかし、空に向かって射撃を行う場合は結果が異なり、90度の角度で撃つケースは非常に稀です。
もし角度が80度、70度と小さくなれば、弾は放物線を描いて飛ぶため、弾の飛翔高度が頂点に達しても弾速はゼロになりません。
この場合、高速の弾が数キロ離れた場所に落下し、人に命中すれば死傷する恐れがあります。
祝砲として違法に空へ向けて発射された弾丸による死亡者は、毎年世界中で大勢の死傷者を出しており、問題となっています。
(正式な式典などで発射される祝砲は空砲ですので、その心配はありません)
真上に撃つというのは人間には非常に難しく、殆どの場合は角度がついてしまいます。
TVドラマなどでみられる警官の空に向けての威嚇発砲は、非常に危険な行為といえます。
以下は弾頭の落下スピードを比較した一覧です。
弾頭の垂直落下スピードの例 データはHaag L.C. 「Falling bullets」 1995 より 単位はフィート/秒 | ||
口径 | ベース(1) | タンブリング(2) |
.22ショート | 168 fps | 134 fps |
.22LR | 198 fps | 142 fps |
.25ACP | 191 fps | 146 fps |
.32ACP | 187 fps | 158 fps |
.380ACP | 187 fps | – |
9mm | 219 fps | – |
.38spl | 237 fps | – |
.44マグナム | 249 fps | – |
.45ACP | 228 fps | – |
.223 | 244 fps | 141 fps |
7.62×39 | 264 fps | 158 fps |
.30-30 | 282 fps | – |
.30-06 | 294 fps | 171 fps |
#4ショット | 134 fps | – |
00バック | 157 fps | – |
(1) ベース:弾頭の底側から先に落ちるスピード。(弾頭は重心が後ろよりであるため)
(2) タンブリング:弾頭が横向きに落下するスピード。